中原区内で助産院などを営む岡本登美子さん(70)=上小田中在住=がこのほど、内閣府の「女性のチャレンジ支援賞」を受賞した。助産院のほか、保育園や産後ケア施設、訪問看護ステーションも経営しており、地域における母子の切れ目ない支援体制が評価された。岡本さんは「核家族化が進む今、母子を支えるのは私たち助産師の務め」と語る。
男女共同参画社会の後押しとなる活躍や、それを支援する女性個人や団体などを国が顕彰する女性のチャレンジ賞等。2004年から続く制度で、今年は全国から6人と7団体が選ばれた。
岡本さんは1992年に保育園、06年にウパウパハウス岡本助産院を下小田中で開設。産後の支援も行うため15年に産後ケアハウス、昨年には主に母子を対象とした訪問看護を始めた。
中原区でこれまで約650人のお産を見届けてきた岡本さん。核家族化が進む中、不妊治療や高齢出産、コロナもあり、一人で不安を抱える母親が少なくないという。そんな女性に寄り添い「褒め、ともに喜ぶ」ことを大切にする。昨年から始めた訪問看護では、精神疾患を抱える母親や妻を失った父親、思春期の子どもなど多様な関わりが生まれた。「産ませて終わりではなく、その後まで支えるのが地域の助産師の仕事と強く感じた」と思いを込める。
今後も「質を追求」
長崎県の五島列島で生まれ育った岡本さん。34歳で資格を取り、島唯一の助産師として地元の産婦人科医院に勤務。小型船舶の操縦免許も取得し、離島の無医村地区で妊婦を支援した。37歳で就職のため上京。41歳で出産し、息子を預ける場所がなく、保育園をつくったことを機に川崎市での支援が始まった。
昨年からは神奈川県助産師会の会長も務め、大学の非常勤講師として次世代へ活動を伝える岡本さん。「母子が好き。こんなに幸せな仕事はない。これからも利益ではなく質を追求していきたい」と目を細めた。
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