児童養護施設「新日本学園」の園長を今年度から務める 三浦 崇志さん 中原区在勤 55歳
成長願い、愛情注ぐ
○…保育士として働き始めて30年余り。かつては親の失踪や死別した子が多かったが、いま入所理由で多いのは虐待。「感情が前面に出ていた昔のやんちゃな子と比べ、今は内向きで問題が見えづらい」。時代が変わる中、重要なのは子どものささいな変化を見逃さないこと。「ちょっとした仕草、たとえ前向きな行動であっても、普段と違う時は注意が必要。そんな微弱な電波を拾えるかどうか」。経験則を若い職員と共有し、子どもたちの成長を支える。
○…人生を変えたのは、二十歳で読んだ司馬遼太郎の小説『竜馬がゆく』。「坂本竜馬の生き方に感激し、人と違うことをやろうと決めた」。当時珍しかった男性保育士を目指したのも、この作品の影響からだ。今でも竜馬の命日には、京都にある墓を毎年訪れ手を合わせる。「史実は違うかもしれないけれど、あの竜馬への憧れが私の人生の糧になっています」
○…妻と息子3人の5人家族。双子の次男と三男は超未熟児で産まれ、三男には聴覚に障害が。双子ながら違いが生じたことに初めは葛藤もあったが、「でもこれが三浦家なんだ」と前を向いた。わが子と過ごす時間よりも仕事で他人の子といる方が多いことから、妻に対し心苦しさやジレンマを抱えたが「できることを全力で」。そんな懸命な父の姿を見てか、思春期になっても家族旅行をともにする息子たちには「うれしいよね」。
○…「職員が納得して働くことで気持ちにゆとりが生まれ、子どもたちの生活の質向上にもつながる」。後進を育てることが最大のテーマだ。地域から寄せられる温かい支援にも感謝を忘れない。「親と過ごせない悲しさを補うほどの経験をさせてもらっている。必ず将来のためになると思う」とほほ笑んだ。
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