上新城の安養寺にある「力石」が、市民文化や地域風土に根差して継承されている「地域文化財」に選ばれた。同じ新城に伝わる民族芸能・囃子曲持の技芸へとつながる原点として歴史的価値が評価された。
「力石」とは、かつて日本各地で行われていた力試しや力比べに使われた用具。安養寺の境内に置かれているこの石は、長さ64センチ、幅31センチ、厚さ23センチの大きさで、90キロを超える重さがある。
今回、県の民族芸能50選に選ばれている「新城囃子曲持」の保存会(千葉康史会長)が、力石を文化財として市教委に推薦し認められた。囃子曲持は、米俵や酒樽、臼などの道具を使い祭りの囃子のリズムに乗って、力技の妙技を見せる芸能。昔、力自慢や娯楽の一つとして用いられてい力石たが、その後、注目を集め、俵などを利用した曲持ちになったと推測され、技芸の進歩・発展へとつながった原点としての価値が評価された。
千葉会長は「古くからの会員が子どもの頃に近所の若者が持ち上げていたのを覚えていると話していたことから、少なくとも戦前からある石として保存会では知られていた」といい「今に受け継がれている郷土芸能の原点として認められたことはうれしい。これをきっかけに、多くの人が力石のこと、囃子曲持のことを知るきっかけになれば」と話した。
地域文化財は、2017年に市民生活に根差した文化財を顕彰する制度で、川崎市の指定文化財に選ばれていないものが対象。第5回目となる今回は市内から23件が追加され、計213件となった。中原区からは、「伝・八百八橋の橋板」「下小田中菊花会」など34件が選ばれている。
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