NPO法人川崎市中途失聴・難聴者協会の理事長を務める 伊藤 實さん 宮内在住 76歳
難聴者への理解広め
○…幼少期から聞こえづらい人や、人生の途中で聞こえが不自由になった中途失聴・難聴者への支援を続け30年。手話や読話の勉強会をはじめ、パソコン教室、バス旅行などで難聴者の交流や自立促進に努めてきた。また行政への要望も行い福祉向上を目指し活動を続けている。「障害の程度は千差万別。不便さや社会での生きづらさは外見では分かりづらい。まだまだ理解が遅れている」
○…小学4年生の時に、現代の医学でも治療の難しい感音性難聴を発症。右耳がだんだんと聞こえなくなった。進行性の病気で20歳くらいから左耳の聴力も低下。今は補聴器を着けても話の内容は聞き取れない。高校卒業後に印刷会社に就職し、苦労したのは毎日のようにあった会議。「内容が聞き取れず、質問されても答えられない。自分の能力が発揮できないことが残念だった。情報伝達の手段があれば」と悔しさを打ち明ける。
○…病気やけが、薬害などで人生の途中に失聴・難聴になった人は、手話の習得が十分でない人が多い。それだけに、話の内容を文字にして伝える要約筆記の支援は、会議や病院、学校などさまざまな場所で欠かせない。協会では、自ら研修の講師を務めるなど必要性を訴え続けている。
○…千葉県で生まれ、父は警察官、母は教師という厳格な家庭に育った。千葉県の協会で、川崎市で協会設立へ動いていた妻で副理事長の雅子さんと出会い川崎へ。楽しみは川崎フロンターレの活躍だ。後援会のメンバーで年間チケットを購入するほど夢中になっている。好きな言葉は「誠実」。「難聴者はひきこもりがちで鬱になる人も多い。意思疎通がスムーズになる新しい技術の導入など信念をもって取り組みたい」と言葉に力を込めた。
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11月29日
11月22日