元住吉駅前のモトスミ・ブレーメン通り商店街の一角にある「住吉書房 元住吉店」が10月7日(月)を最後に閉店することがわかった。区内外にある住吉書房の1号店であり、同商店街で唯一の書店として長年にわたり地元住民に愛されてきた同店。地域の人たちから惜しむ声が集まっている。
9月10日、同店の店頭に張り出された「閉店のお知らせ」。10月7日が最終営業(午後8時)となる案内だった。「さまざまな選択肢を模索し、できる限り営業を続けるために尽力し、お客様にもご協力いただいてまいりましたが、あらゆる手を尽くしたとしても営業の継続は困難という判断になり、やむを得ずこのような結果となりました」。張り紙にはそう記されている。運営する(株)スーパーブックスの担当者は今回の閉店について「張り紙に書いてある通り」と話す。
突然の閉店の知らせに、同店で毎月雑誌を購入しているという50代の女性は「知らなかった。店がなくなるのは残念」と話す。地元に長く住む40代の男性は「文房具なども売っていて重宝していた。馴染みある店がなくなるのは寂しい。小杉まで本を買いに行かないと」と惜しむ。
創業時はそば屋
同店は、1927年(昭和2年)に「やぶそば」として創業し、51年(昭和26年)にスーパーマーケット「川崎住吉ストアー」を開店。71年(昭和46年)に「住吉書房」を立ち上げ、書籍業務をスタートさせた。その後、規模を拡大し、区内外に店舗を拡大していったものの、次第に経営難に。2015年に出版商社で取次会社のトーハングループの傘下に入り、19年から同グループの(株)スーパーブックスが経営を行ってきた。
全国で書店が経営難によって次々と閉店する中、ブレーメン通りにあったもう一つの書店も10数年前に閉店。住吉書房は、残った唯一の書店として地域の文化を支え、地元で愛され続けてきたが、今回の決断となった。モトスミ・ブレーメン通り商店街の伊藤博理事長は「商店街の情報誌などを置いてくれたり、地元に積極的に協力してくれていた。物販の店舗が減っている中で、唯一の書店でもあったし助かっていた。長年続いてきた書店だけに寂しい」と話している。
同店の店頭の張り紙には利用客へメッセージが記されている。「お客様との出会い、そして皆様に本をお届けできた日々は、私たちにとって貴重な財産です。これからも皆様が素晴らしい本と出会えることを願いながら、残された営業日も頑張ってまいります」
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