神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
中原区版 公開:2024年10月18日 エリアトップへ

書評家・東えりかさんに聞く 読書週間【1】 川崎の今を知る本

文化

公開:2024年10月18日

  • X
  • LINE
  • hatena
推奨本を手にする東さん
推奨本を手にする東さん

 10月27日(日)から読書週間が始まる。川崎市制100周年の今年、宮前区在住の書評家・東えりかさんは、「川崎とは何か」を考えて本を開く機会が増えたという。本と向き合い続ける東さんが薦める「川崎を知る本」を、2回に分けて紹介する。

 東さんは千葉県出身で1995年から宮前区犬蔵で暮らす。毎年200冊以上の本を読み、ノンフィクションや文芸作品の書評を執筆している。

 今年は「市制100周年」関連のイベントで講演依頼が増え、少し困ったそうだ。「川崎はエリアごとに文化が違い、全体のイメージをつかむのが難しい」と語る。

 そんな時に図書館で出会ったのが、市立小学校で3年生から配られる副読本『かわさき2024』だった。「開いてびっくり。歴史や文化、産業など、知りたい情報が網羅されている。川崎の今を知るにはぴったりの一冊」と絶賛する。

 市では小学校の地域学習の資料として、副読本『かわさき』を1955年から発刊してきた。ただあくまで教材のため一般市民は図書館で探すほかない。東さんも図書館の「郷土史コーナー」で偶然見つけたそうだ。

北部の歴史は面白い

 続く一冊は、同じく宮前区在住の文筆家・小倉美恵子さんの『オオカミの護符』(新潮社)だ。

 東さんが転居したてのころ、犬蔵地区には田畑や里山が広がっていた。散策中、所々で黒い犬が描かれた護符に遭遇した。「何かが分からず、不気味だった」

 数年後、ドキュメンタリー映画「オオカミの護符」を見て正体が判明。田畑を守るために農民たちが「お犬様」に祈りを捧げた信仰の跡だった。感銘を受けた東さんは映画製作者の小倉さんに手紙を出し、書籍化を懇願。そして2011年秋に出版された。「足元の歴史への好奇心をかきたてる一冊。私も、川崎の北部の歴史は面白いと気付かされた」と語る。

 もう一冊、「北部の歴史」関連の本として、宮前区在住のノンフィクション作家、高橋秀実さんの『パワースポットはここですね』(新潮社)を挙げた。地盤が安定している市北部には古墳や遺跡が多く、土器などが度々出土する。高橋さんは自宅敷地で土器が出土した話も交え、現代人が歴史と共にあることを伝える。東さんは、本の「パワースポット」も歩いてみたそうだ。「土地の歴史を知らない人たちに薦めたい」と笑う。

 東さんは「土地の歴史」という観点から、約40年前に話題を集めた本の名も挙げた。写真家の藤原新也さんの『東京漂流』(新潮文庫)だ。藤原さんは著書の中で、ある殺人事件で全国区になった「宮前平」を、宅地化により大地の歴史が寸断された「新しい日本の家と土地」として憂いている。

 「40年が過ぎ、彼が憂いた未来とは異なる風景が広がっていると思う。そういう意味で興味深い」と東さん。10月26日(土)には高津区梶ヶ谷のカフェ「アンジュ」で、藤原さんと小倉さんのトークイベントも開かれる。

中原区版のローカルニュース最新6

等々力緑地で10月20日

中原区民祭

等々力緑地で10月20日

緑化フェアと同時開催

10月18日

交通事業80周年を祝って

交通事業80周年を祝って

誕生イベントに5千人

10月18日

高喜商店が「五つ星店」に

高喜商店が「五つ星店」に

食品衛生を徹底

10月18日

自転車盗対策へ協力

区内4RC

自転車盗対策へ協力

区民祭でグッズ配布

10月18日

区民主役の文化祭

区民主役の文化祭

中原市民館で

10月18日

精神疾患者 訪問支援とは

精神疾患者 訪問支援とは

11月14日 高津市民館

10月18日

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 10月18日0:00更新

  • 10月11日0:00更新

  • 10月4日0:00更新

中原区版のあっとほーむデスク一覧へ

イベント一覧へ

等々力緑地で10月20日

中原区民祭

等々力緑地で10月20日 パレード中原区文化新型コロナ

緑化フェアと同時開催

10月16日~10月16日

中原区版のイベント一覧へ

コラム一覧へ

中原区版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2024年10月18日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook