川崎市平和館で3月8日、「戦後80年 川崎大空襲記録展 戦時下の市民生活と川崎大空襲」と題した企画展が始まり、戦争経験者の小川一夫さん(94)が講演した。
小川さんは80年前の4月15日夜、自宅があった稲毛神社近くの宮本町(現在の川崎中央郵便局周辺)で被災。神社の生木が燃える光景を目の当たりにし、燃え盛る炎と火の粉が降りかかる中、足が不自由な母と姉をリヤカーに乗せ、父と近くの広場まで避難。翌朝戻ると自宅は焼失し、思い出の家族写真や先祖の位牌も失った。その後も深刻な食料不足に直面し、一夫さんの一家6人で、手のひら一杯だけの米や甘藷(さつまいも)などで生きながらえた困窮さを、涙ながらに伝えた。
今も当時を思い出し身がすくむ思いに悩まされるという小川さん。それでも90歳を過ぎ、語り部をする理由について「無念の死を遂げた人たちに代わって、真実を語り続けることが生き残った者の義務」と強調した。
企画展は5月6日まで
当日は平和学習に取り組んだ東橘中学校の生徒も登壇。広島を訪れ、現地で聞いた話などを発表した。御田光さん(15)は「国や考え方が違っても相手の視点に立ち理解することが大切だと感じた」と話し、松倉朱音さん(15)は「平和が当たり前ではなく、危機感をもち次世代に伝えていきたい」と思いを込めた。
今回の企画展では当時の白黒写真をAIや証言を基にカラー化したパネルなどを展示。5月6日(火)まで開催されている。
![]() 活動発表する生徒
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