昨年11月に開館30周年を迎えた「川崎市市民ミュージアム」。今年度は「さいとう・たかを ゴルゴ13」や「ビッグコミック50周年展」など、同館の特徴の一つである「漫画」に関する企画展を精力的に開催してきた。来月2日(土)からは日本で初めて少年愛を漫画で描いたとされる竹宮惠子さんの画業50周年企画展が始まる。同館で漫画部門を担当する学芸員・新美琢真さんに話を聞いた。(聞き手/本紙記者 岡田知子)
※【画業50周年記念展】「竹宮惠子カレイドスコープ」詳細はレアリアへ
──貴館の基本テーマは「都市と人間」ですが、漫画部門はどのような位置づけですか?
「当館は博物館と美術館の複合文化施設として1988年に誕生しました。川崎に関する歴史的資料や美術作品の収集・展示だけでなく、大衆芸術として映画や写真、ポスターに日本の文化として漫画を加え、近現代の表現を中心に紹介しています。2つの側面から総合的にコレクションされた収蔵品数は、全国最大級の約26万点。中でも漫画においては日本の公立館として初めて収集を行い、現在は6万点の資料が収蔵されています。大衆芸術は捨てられやすいため「残す」ことが重要。当時の連載誌から時代の空気を感じることができるのも魅力の一つです」
──今年度開催した漫画展は全て50周年を記念したものですね。
「漫画史上、重要な人たちを選んだら全て50周年企画でした。手塚治虫先生を代表とする子供向けの漫画に対し、貸本屋の流れを汲んださいとう・たかを作品など青年向けの劇画が登場して、その両作家が作品を掲載したのが1968年に創刊された『ビッグコミック』。前年に竹宮惠子先生がデビューしており、漫画の表現が多様化し、今の形につながる節目の年だったと考えています」
──学芸員はアートディレクターともいわれます。今後、取り組みたい企画展などはありますか?
「漫画家がポスターを書いたり、映画監督が写真を撮ったり、大衆芸術は相互に影響しあっています。当館の強みを生かし、映画や美術を組み合わせながら、幅広く漫画の世界を紹介できたら面白いなと。川崎のイメージを逆手にとって、川崎とヤンキー漫画展みたいなのも面白いかもしれませんね。文化を相対的に見ることで漫画というものが別の角度から浮かび上がってくるのではないかと考えています。美術館に足が向かない人にも親しみやすいテーマを選びたいですね」
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