川崎市が制定を目指す差別禁止条例が現在開会中の議会で一つのヤマ場を迎える。そうした中、刑事罰など実効性のある条例にしてもらおうと、市民団体「ヘイトスピーチを許さない川崎市民ネットワーク」は今月5日、山崎直史川崎市議会議長に10項目からなる意見書を提出した。
「差別根絶が市民総意」
市は今年3月にあらゆる差別の根絶を目指す「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」の骨子案を公表。その後、条例案の策定作業を進め、今議会で素案を示す。
ヘイトスピーチ解消法の成立から3年が経過し、川崎市では公的施設でのヘイトスピーチを事前規制するガイドラインが成立した。一方で、学習会や政治活動に名を借りたヘイトスピーチは後を絶たないことが指摘。インターネット上での差別的言動も横行する。「差別を根絶するにはもはや理念ではない、実効性のある条例が必要」と同ネットワークは強調する。
同ネットワークが作成した意見書は▽差別に当たるのか、明確で具体的禁止条項を置く▽ヘイトスピーチを含む人種差別については、刑事罰を含めた制裁規定を置く▽インターネット上のヘイトスピーチ対策の強化の明記▽現行のガイドラインの改正―など10項目を求める。
山崎議長のもとを訪れた関田寛雄同ネットワーク代表は「オリンピックも見据え、具体的な効果のある条例を作っていただきたい」と要請。山田貴夫さんは「意見書は東京弁護士会が作成した人種差別撤廃モデル条例案がベースになっている。参考にしていただきたい」と語った。
これに対し、山崎議長は「気持ちは分かった」と応じた。
その後の記者会見で同ネットワークの崔(チェ)江以子(カンイデャ)さんはヘイトスピーチ解消法成立に力を尽くした国会議員が先月31日に記者会見をした言葉を引き、「川崎で出来る条例は全国の模範となり、灯台の役割を果たす」と意義を強調。「私たちは16回にわたり学習会を開き、市民が求める条例を作った。福田市長は市民の総意で条例を制定したいという。市民が求めているのは差別の根絶」と述べ、議長のリーダシップの発揮に期待を寄せた。
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