川崎市が外国籍住民に昨年実施した意識実態調査の結果が公表され、差別発言や治安などへの不安や危険を感じたことのある人が約4割いたことが分かった。2014年の前回調査より増加しており、市は「7月に全面施行する市差別のない人権尊重のまちづくり条例で対応していきたい」との意向を示す。
昨年6月から7月にかけ、市全域から無作為に選んだ満18歳以上の5千人に郵送で調査。1085件の有効回答を得た。
1年間で感じた不安や危険について、「感じたことはない」と回答した人は58・1%で、前回比11・3ポイント減少。4割以上が何らかの不安を感じた経験があることが示された。具体的には「外国人であることを理由に脅迫や差別的な暴言を受ける不安」が最多で18・0%(同7・6ポイント増)。新たに設けられた「外国人を攻撃するようなインターネットやSNSの書き込みを見て感じる不安・危険」は12・4%で、定住外国人に多かった。自由記述では「ヘイトスピーチをやめさせてほしい」「ネットや職場で外国籍住民や社会的弱者への心ない言葉を聞くことがある」といった声が寄せられた。
「住んでいる地域の治安」への不安も17・7%(同6・7ポイント増)と高い。外国人と日本人の共生に取り組む社会福祉法人・青丘社の三浦知人事務局長は、「定住外国人は日本語能力が高く、ヘイト発言や書き込みの実態を理解しやすい。また、滞在期間が短い外国人の場合、慣れない土地で見聞きする事件が治安への不安を引き起こす」と指摘する。
条例 基に個別対応
結果を受け、人権問題を扱う市人権・男女共同参画室は、ヘイトスピーチへの刑罰付き条例が対応策に該当するとしている。全面施行に先立ち、4月からはネット上の差別的書き込みの巡回を始めたほか、差別行為を判定するための審査会を設置した。担当者は「条例に則し、個別に応じていきたい」と話している。
三浦事務局長は「早急に条例の基本計画に反映させるべき」と訴えた。
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