江戸時代の町火消など古式消防の伝統文化を今に伝えようと活動している川崎古式消防記念会(木村政彦会長=人物風土記で紹介)が、今年発足20周年を迎えた。木遣り、まとい振り、はしご乗りなどの技術を、市内の行事や催しなどの機会を通じて発信してきた。しかし、時代の変化とともに会員数が減少し、高齢化が進むなど、後世への伝承者不足が課題となっている。
一般市民を受け入れ
明治後期に、家の構造を知るとび職や大工を中心に川崎町消防組という組織が発足。戦時下で一度は廃止されたものの、1954年には現在の記念会の前身である「川崎古式消防纏保存会」が結成された。市内の北部から南部までを7つの番組に分け、ピーク時は合わせて250人ほどの会員で構成されていた。しかし、住宅構造などの変化に伴うとび職の成り手不足などにより会員は年々減少。2000年に現在の記念会に名称を変え一般市民の入会も受け入れているものの、会員数は90人ほどにとどまっている。会員の高齢化も目立つという。
記念会の活動は、川崎大師での行事や新年の出初式、各区の区民祭、神社寺院の祭礼などで、一年を通して市民への普及活動に取り組んでいる。技術に磨きをかけるため、市内神社の境内で年3回約30日に及ぶ稽古を欠かさず、100種類にものぼる木遣り芸の向上にも努めている。三番組(川崎区田島・小田地区)で一般会員として活動している70代の女性は「8年前に入会し、はんてんやもも引きを身に付けて行事などに参加しているがとても楽しい。女性にもできる役がある。後世に伝統を伝えていくためにも、受け継いでくれる若い人にぜひ参加してもらえたら嬉しい」と呼びかける。
現代に生かせる魅力
発足20周年の節目として今年予定していた式典や行事は、新型コロナウイルスの影響で全て中止か白紙に。古式消防の伝統文化を普及していく機会を失い、今後の活動の広がりにも黄信号が灯る。木村会長は「見ることがなくなった火消しだが、その技術は現代に生かせるところも多い。消防の成り立ちを学べ、人脈も広がる。体力の維持管理や身のこなし方を体得できるのも魅力だと思う」と誇る。江戸から令和へ、伝統文化の継承者を心待ちにしている。
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