昨年の台風19号で、収蔵品の多くが水没した川崎市市民ミュージアムで7月30日、被災後初めて報道陣に内部が公開された。浸水した地下収蔵庫はカビ臭く、2階の展示室だった部屋には修復困難と思われる美術品も。今後は専門家の意見をふまえ、保管していくかどうかを判断する。
地下浸水当時、天井まで4・29mある倉庫では床から2・55mの高さまで水が達した。いまだ泥の跡があり、白く固まったカビや水圧で折れ曲がった鉄のドアなど、浸水の爪痕が深く残る。
被災した約23万点の収蔵品が今年6月、地下から全て搬出されたため公開となった。現在は水濡れではがれてしまった絵画など、紙作品を優先した応急処置作業が続く。洗浄して乾燥させ、館内に緊急設置した燻蒸設備でカビを殺菌。仮設のプレハブでスタッフがハケを用い手作業で死滅したカビを払う。また、処置を待つ濡れた古文書や紙作品は腐敗しないよう、敷地内に置かれた冷凍・冷蔵コンテナで腐敗しないよう保管している。
応急処置後の本格的な修復作業は専門業者へ依頼しているが、修復困難と判断される場合もある。市担当者によると、処分か保管かの判断は当該分野の専門家の意見を求めた後、市が行う予定で、傷んだまま保管という判断もあり得るという。市担当者は「搬出は終わったが今後の作業は年単位で相当時間がかかる。少しでも早く作業を進め、多くの作品を修復したい」と話す。
今年の台風への備えについては、水の侵入口となった場所に土のうを敷き、水が溜まりやすい塀に穴をあけるなどの対策を講じた。今後は7月に設置された「市民ミュージアムあり方検討部会」で、方針案を来年6月までにまとめる予定。
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