川崎市内で特別支援教育を受ける児童生徒の数が増え続けている。市立小中学校の特別支援学級の在籍者は10年前の1・5倍、市立特別支援学校の在籍者は1・6倍。今後の増加も見込まれるが、適切な指導や支援を行うため教員や受け入れ枠数の不足が課題だ。
今年度の市立小中特別支援学級在籍者数(5月1日時点)は2776人。11年は1825人だった。背景には学齢期人口の増加に加え、医療発達、障害に対する保護者の関心の高まりが挙げられる。市教育委員会担当者は「障害への理解が広がり、保護者も特別支援について相談しやすくなった」と分析する。
一方で、担当教員の人数不足を懸念する声もある。学校ごとに異なるが「平均して教員1人が3、4人を担当している状況」と市教委。子どもの障害の状態が多様化、重度化、重複化しており、「教員1人で個別に対応するのが難しくなっている」と危惧する。
麻生区のある市立中学では、支援学級の在籍生徒4人で障害別に2クラス、担任1人ずつに補助教員や、教員を目指す学生らによる特別支援サポーターが加わる。それでも「普通学級にも支援を必要とするような子どもが増えている。担当教員がもう少しいればと思う」と同校校長は語る。
支援学校は枠不足
市内の特別支援学校は市立、県立合わせて7校だが、受け入れ数は限界に達している。教室数の不足に加え、特別支援学校には教室の広さや施設などの設置基準がないため、各校では教室内を分割するなどして対応。児童生徒の増加に伴い、通学支援のスクールバス台数や運転手の確保も必要で、教員増加により職員室も手狭だという。
特別支援学校の設置義務がある県に対し、市は来年度の予算編成に特別支援学校の受け入れ枠拡充を重点項目として要請。県立特別支援学校の新設や既存校の増改築、分教室の設置を求める。今年度予算にも要請したが、現時点で改善はされていない。市教委は「今後も人口は増える見込み。早急に是正してもらいたい」としている。
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