川崎市は認知症に関する医療体制の中核を担う「認知症疾患医療センター」を2カ所増設し、市内4カ所とする。超高齢社会での患者数増加などに対応するため。相談窓口拡充などにより早期発見・治療につなげ、「その人らしい生活」を送るための支援の充実を図る。
同センターは認知症の早期診断や治療、支援ネットワークの構築を目的に設置されている。認知症に関する詳しい検査や行動、心理などの周辺症状、合併症への急性期対応、専門的な医療相談などを担うほか、地域保健医療・介護関係者への研修を実施。都道府県や政令市から指定を受けた医療機関が事業を行う。
川崎市はこれまで、日本医科大学武蔵小杉病院(小杉町)と聖マリアンナ医科大学病院(宮前区)の2カ所にセンターを設置していたが、患者数の増加などを受け、新たに事業を担う医療機関を公募。「川崎区、幸区、中原区」のいずれかに1カ所、「高津区、宮前区、多摩区、麻生区」に1カ所増設する。開設は8月ごろを予定。
相談の受け皿が不足
市の65歳以上の高齢者人口は2020年10月1日時点で約32万人。うち約5万8000人が認知症と推計され、6人に1人が発症していることになる。市によると、認知症高齢者数は30年に約8万6000人、40年に10万人まで増えると想定されるという。市内の認知症疾患医療センターは12年以降、増やしていない。相談件数は年々増加し、19年は各施設平均約4400件で、全国平均の2000件弱を大きく上回った。市担当者は「受け皿が足りず待ち時間も長いなど課題がある」と話す。
現在はコロナ禍によりデイサービスや地域の認知症カフェが休止になるなど、症状の悪化が懸念されるという。これまで症状がなかった人についても「物忘れが気になる、検査したいという相談も一定数増えていると考えられる」と市担当者。「受診控えで他の外来は減っているが、認知症外来は変わらず混んでいる」との医師からの声もあり、センターの必要性が高まっている。
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