川崎市内の消防団員が不足し、定数割れが続く中、夫婦と子の3人で活動している家族がいる。中原消防団中原分団宮内班の古田さん一家だ。
夫・武志さん(49)が入団したのは20年ほど前。当時は勤務先と自宅との往復で地元に関心がなかったというが、行きつけの理髪店主に勧められ消防団員に。「消火器の使い方すら知らなかった」が一転、今では各機材の使い方を身につけ、防火水槽や消火栓の設置場所までも把握する。また、団員仲間や住民と交流することで、祭りや地域行事など楽しみも増えたという。「顔見知りが多いと、子育てや防犯面でも安心」と、周囲への感謝を口にする。
地域に目を向けた夫から「一緒にやってみないか」と背中を押され、活動を始めた妻の悦子さん(49)。女性という立場から不安もあったが、温かく迎えられ自然に溶け込めたという。夫が仕事の際も一人で参加し、消防車両に搭乗しては火の用心を呼び掛けたり、応急救護の資格を生かして住民らに講習を行うことも。「もし災害が起こっても、家族をはじめ大切な人を守ることができる」と胸を張る。
「社会勉強にも」
高校3年生の拓海さんは、18歳の誕生日を迎えた今年8月に入団したばかり。先日、火災現場に初めて出動。「緊張したけど皆さんに支えてもらった。両親以外の世代と接し、社会勉強にもなる」と充実感に満ちる。
周囲は大歓迎だ。宮内班を所管する中原分団の西村和也分団長は「若手や女性が入団すれば活気づくし、活動の幅も広がる」と喜ぶ。中原消防署消防団係の小座間清徳さんは「家族3人で団に在籍しているのは現役で古田さんのみ。近隣住民からの信頼を得られ、地域を守る郷土愛の精神が受け継がれ、地域防災力の向上にもなる」と話す。
中原消防団の団員数は204人で、定数249人に対し充足率は81・9%(今年11月1日時点)。市内8消防団では1071人が在籍、定数は1345人で79・6%(同)と不足している。
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