下小田中の福寿屋米店に、大正天皇が即位した際の「大嘗祭」で米を献上した記念写真が飾られている。大正4(1915)年10月に撮影されたものとみられ、7月16日(日)に中原市民館で行われる「なかはらっぱ祭り」の特別企画で展示される予定だ。
中原区内で活動する市民団体の発表の場であるなかはらっぱ祭り。市制100周年に向けた特別企画として、区内各所の昔と今の風景を写真で紹介する「中原今昔ものがたり」を予定しており、今回の写真は昔の写真を実行委員が集める中で提供された。昔の写真は昭和30年代が中心で、大正時代の写真は今回の展示では最古となる。企画を中心となって進めている実行委員の関口清さん(77)は「お店の近所に住む方が情報を寄せてくれて、貴重な写真を提供してもらえた」と喜びを語る。
同店によると、写真は昔から店内に飾られており、由来などは不明だという。写真の横には「大正四年乙卯十月十五日写」と記されており、108年前の1915年10月15日に撮影されたことがわかる。関口さんによると、中央に写る看板には「大嘗祭」と書かれ、大正天皇即位の際の大嘗祭を記念したものとみられるという。大嘗祭は、五穀豊穣に感謝して天皇陛下が新穀を神様にお供えし、ご自身も召し上がる宮中行事「新嘗祭」のうち、即位後初めて行われるもの。看板には「献穀主 鹿島儀左衛門」とも記され、この人物が献上したとみられる。写真には当時の橘樹郡橘村の村長も写っているという。
「詳しい情報は残されていないが、地域の歴史がわかる貴重な一枚。自分が住んでいるまちでどんなことがあったのか、調べてみると楽しい」と関口さんは笑顔をみせる。企画展「中原今昔ものがたり」では、市制40周年のフォトブックから今昔あわせて40点、今回新しく集めた写真40点をパネルにして展示する。「こうした写真を見て、皆さんも自分の家を探してくれたら、貴重な写真が見つかるかもしれない。昔の出来事をつないでいくためにも、保管できるしくみも考えていきたい」と関口さん。なかはらっぱ祭りは午前10時から午後4時まで、中原市民館とグランツリー武蔵小杉ピロティで開催。企画展は市民活動センターで行われる。
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