川崎市岡本太郎美術館(多摩区)は視覚障害者に向けて「アート体験」を提供するため、初めてクラウドファンディング(CF)に挑戦する。同館学芸員の佐藤玲子さんは「ご支援をいただき、美術館に来にくい方が足を運ぶきっかけを作れれば」と思いを話す。
同館は川崎出身の芸術家・岡本太郎氏から約1800点の作品などの寄贈を受け、1999年に開館、10月に開館25周年を迎える。
「芸術は太陽と同様に、すべての人に与えられ、すべての人と共有するべきもの」と考えた岡本太郎氏。その精神を受け継ぎ、3カ月から3歳までの子どもと一緒に美術館を巡れるツアーを月に1回開催。昨年は、認知症の人と、その家族に向け、作品を鑑賞するイベントも初めて行った。
「視覚障害者に向け、安心して来館してもらい、太郎作品に親しむ機会を」との思いから今回、初めてCFに挑戦。CFは川崎市が推進する、誰もが文化芸術に触れて参加できる環境「アート・フォー・オール」の一環でもある。また、ふるさと納税制度を活用して行うCFであることも今回の特徴だ。
3つの取り組み
集めた資金を活用し、点字や触知図で館内を紹介するパンフレットや、触れることで作品の形や輪郭が分かる立体的な紹介カードを作成する予定。佐藤さんは「カードは、実際に触れることで形を知ることができ、イメージが広がり作品への理解も深まる。親しみをもってもらえる」と期待を込める。また、目が見えにくく、生活上の不自由を感じる「ロービジョン」の人に、(株)QDレーザ(川崎区)が開発した網膜に直接映像を投影する視覚支援機器「レティッサオンハンド」を使い、作品を鑑賞するイベントも実施する。
1万円以上寄付すると、市制100周年と開館25周年を記念して、秋頃に開催する展覧会の内覧会に招待。3万円以上の寄付では、「スペシャルバックヤードツアー」と銘打ち、収蔵庫などを巡る企画に申し込める特典(15組30人、申し込み多数の場合、抽選)なども用意するという。
申し込みやCFの詳細はCFサイト(【URL】https://www.furusato-tax.jp/gcf/2949)。募集期間は6月30日(日)まで、目標金額は120万円。達成後も期間が終わるまでは受付を継続する。問い合わせは同館【電話】044・900・9898。
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