市政報告Vol.28 議案めぐり稀有な事象 川崎市議会議員 重冨たつや
市議会では先月まで、昨年度の決算審査を中心とした定例会が開会されていました。決算審査とは、行政が執行したお金の使い方などをチェック・認定することです。不認定となった場合でも執行を取り消すような効力はありませんが、市議会の重要な意思決定のひとつです。
修正か 決議か
また決算審査以外に条例案などの議案についてもあわせて審査されました。議案の中には、工業用水道事業に関するものが含まれており、市民が利用する水道料金の値上げにも影響を与えかねない条例案でした。市議会ではこの条例案に対して、「【1】条例案を否決し、市議会として条例の修正を行う案」と「【2】条例案を採択し、市議会として条例案に対する意見を附帯決議として採択する案」について、押しボタン式投票による採決が行われました。市から提案された条例案(原案)に対して、市議会として能動的なアクションが2つ同時に行われたといえます。議員が議案を発議するためには議会内で一定数の賛同者を確保する必要があります。今回の両案は共にギリギリの賛同者数で発議されたものですが、あらゆる選択肢を俎上に載せて議論できたことは意義深いことだったように思います。
賛成多数で原案可決
私個人としては、原案に関する市の説明資料の一部で、事実を正確に反映できていない部分があることを指摘しつつも、工業用水道事業の収支状況や昨今の物価高騰などのさまざまな観点から、原案以上のものを提案することは、現実的に厳しいと考え、【2】に賛同・発議する立場を取りました。結果としては、【1】や【2】の議案は否決され、原案のみが賛成多数で可決されました。今回の条例案で改定されたのは、市民が利用する水道料金ではなく、臨海部の工場などで利用される工業用の水道料金などです。これまでの市議会での議論を踏まえれば、来年度は市民が利用する水道料金についても、経営を持続可能なものとするために値上げを含む料金制度の改定に向けた具体的な議論が行われると思います。引き続きご意見をお寄せいただきますようお願い申し上げます。
重冨たつや
|
|
|
|
|
|
|
<PR>
11月15日