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麻生区版 公開:2012年1月6日 エリアトップへ

ケアマネジャー&福祉従事者座談会 「介護の選択」〜麻生区の場合

公開:2012年1月6日

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左から笠原泰子さん(さくらの丘)、水嶋千佳さん(たま日吉台病院)、寺田真美さん(セントケアあさお)、藤田早希(聞き手)、山口由晃さん(総生会居宅介護支援センター)、井上哲さん(金井原苑)
左から笠原泰子さん(さくらの丘)、水嶋千佳さん(たま日吉台病院)、寺田真美さん(セントケアあさお)、藤田早希(聞き手)、山口由晃さん(総生会居宅介護支援センター)、井上哲さん(金井原苑)

 「自分に合った介護支援やサービスを選ぶために、何が必要か」をテーマに、区内で働くケアマネジャー&福祉従事者を招いた座談会を開催した(会場は総生会ロイヤルホーム)。麻生における高齢者福祉の現状や福祉サービスを上手に使うためのコツについて話してもらった。(聞き手・本紙麻生区編集室 藤田早希)

※  ※  ※

◇現在、麻生区ではどのような相談が増えているのでしょうか?

寺田―麻生区では今、高齢者世帯が増え、独居の方も増えています。生活水準の高い方も多く、人生の集大成をどう生きるか、ということに積極的な方も多いですね。

井上―最近は、介護度の低い方からの相談も増えていますね。地域包括支援センターなどの窓口も昔よりは一般的になってきているためだろうと思います。山坂の多い麻生区ならではのご相談をいただくこともあります。例えば、玄関までのアプローチに階段があり、その昇り降りが最近辛くなってきた、など。

◇日ごろ、様々な相談と接する中で感じることは何ですか?問題意識などはありますか?

水嶋―介護保険の利用は、申請にかかる時間が長く、一番大変な時期に手を貸せないことが多いということがあります。持病を持っていらっしゃるケースなどは家族で頑張って介護して、限界だという時にようやく私たちの所へお話に来てくれる方がいますが、それから申請をしますと、実はもう一番大変な時期を越えてしまっていて…。

寺田―介護が本格的に必要になってから動くのはご本人様の負担にもなります。介護保険は申請してから最低一ヵ月以上かかります。

水嶋―加齢に伴う変化や認知症の症状を受け入れるには長い時間がかかる人もいらっしゃいます。最初から受け入れられればずっと楽だと誰もが思うのですが、いざ自分や家族のことになると難しいんです。

山口―病気などをお持ちで入院や通院をされている方は、介護が必要になった時、その病院が介護とどのような連携を持っているのかについて調べておくのもいいと思います。医療と介護の垣根を越えた様々なサービスが世に出ています。それを上手に利用して欲しいですね。

水嶋―そうですね。医療・介護と分けずに、日頃から色々とアンテナを立てておくといいと思います。地域包括支援センターは今、介護の相談が主だと思うけれど、例えば病気が発覚した時に、今後介護が必要になる可能性があると相談をしておくのも有効だと思います。

井上―そういう利用の仕方、今はまだほとんど無いですが、それができたら、色々と備えられると思います。

◇情報収集で他に使えるところは?

笠原―あとは区役所や社協に置いてある「福祉のしおり」などの資料を活用するのもいいと思いますね。日ごろから情報に触れ、地域の福祉拠点についても把握しておくと、いざという時にきっと役に立ちます。

井上―私のところでは地域の方を対象にした勉強会を開催したりしています。介護保険制度などについて、予め知ってもらおうと企画しています。

笠原―さくらの丘ではコミュニティーサロンを併設して、地域の方に活動の場を提供しています。そこでは地域の方が主体となって行う勉強会や講習が行われていますが、施設や介護を身近に感じてもらうきっかけにもつながっています。そこで様々な講演を行い、介護とは直接関係のない講演も行うことで、施設や介護を身近に感じてもらうようにしています。

◇相談の際に必要なこと、コツはありますか?

井上―相談の際は困っていることを率直に伝えることが大切だと思いますね。例えば「ヘルパーさんを使いたい」と相談されるよりも「買い物にいきたいんだけれど自力では行くことができない」などと相談していただいた方がありがたいですね。一緒に対処法を考えていければ一番いい方法にたどり着けると思います。

笠原―ご年配の方々には誰にも弱音を吐かず、黙々と耐える方が多いです。我慢をしすぎないで早い段階で気軽にご相談いただけたらと思います。

寺田―最近はインターネットの普及などで色んな情報を集め、逆に身動きが取れなくなってしまうケースも見受けられます。情報収集のコツは、専門家にご自分の状況を伝え、ご自身にあった選択肢を蓄積していくことだと思います。

山口―まずは肩の力を抜いて、自分のことを楽に話せる相談窓口を見つけることが大切です。窓口や選択肢が星の数ほどある時代だからこそ、色々な人と話し、時間をかけて、本当に納得したプランを選択していただけたら嬉しいです。

※  ※  ※

 私たちが普段、日常生活の中で介護のことをどれくらい考えているかということを考えさせられ、私自身もハッとしました。自分でなくても親の世代や、親戚など、身近なところで必ず必要になってくる事柄であることを踏まえ、地域に即した情報収集や、福祉拠点との接点を持っていこうと思いました。

 麻生区の地域性に即したお話や、具体的な事例に触れることができ、とても有意義でした。次回は保険制度のお話や実際の事例について詳しくお聞きしたいですね。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
 

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