オペラ団体「藤原歌劇団」の総監督に就任した 折江 忠道さん 昭和音楽大学教授 66歳
オペラを次世代へ歌い継ぐ
○…新百合ヶ丘の昭和音楽大学内に稽古場を構える日本最古のオペラ団体「藤原歌劇団」の5代目総監督に、このほど就任した。「考えに考え抜き、若い人やオペラのためにお引き受けした」と語る。昨年4月に同歌劇団の公演監督に就くまで、歌い手一筋で日本を代表するプリモ・バリトンとして活躍を続けてきた。「今後も歌える限りは歌い続けていく。歌い手の気持ちになって制作していき、オペラの発展のために歌い手を育てていきたい」
○…東京都出身。家は中華料理屋で音楽とは無縁の環境だった。「幼い頃、言葉を流暢に話すことができず、病院のようなところで『喋ろうとするのではなく、歌を歌うように伝えればいい』と教えられ、それが音楽との出会い、また自己表現をするきっかけとなった」と振り返る。以前は内向的だった性格も真逆になったという。小学生の頃からミュージカルを観て、高校では男声合唱で歌い、音楽の世界へのめり込んでいった。
○…東京芸術大学でフランス歌曲などを学び、イタリアへ留学。イタリアのスカラ座で初めて本場のオペラを目の当たりにし、衝撃を受けた。「理屈ではなく、音が肌に沁みこんできた」。その日以来イタリアオペラに目覚め、鍛練を積み、アレッサンドリア国際コンクールで2度優勝、ヴィオッティ国際コンクールでは第2位に輝いた。以後ヨーロッパ各地の劇場で主要な役を務め、活躍を続けてきた。
○…現在は趣味の釣りをする暇もなく多忙を極め、昭和音楽大学教授、日本オペラ振興会オペラ歌手育成部部長をも務め、寝る間も惜しみ若手に手を差し伸べる。藤原歌劇団でも今後、7月に「ドン・パスクワーレ」など、次世代の若い歌い手が活躍しやすい舞台を用意し、日本のオペラ界の発展のために力を注ぐ。「マイクを通さない、生の音の感動とスケールを若い人たちにも感じてもらいたい。質を維持しながら、あらゆることに挑戦していきたい」
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