新年にあたり、タウンニュース麻生区版では多田貴栄区長にインタビューを行った。多田区長は災害や高齢社会に対応する取り組みから区の将来の姿など、思いを語った。(聞き手/本紙・麻生区編集室編集長 中島正裕)
-昨年を振り返り、印象に残った出来事をお聞かせください。
「台風15号、19号により各地で甚大な被害が発生し、改めて災害への備えや避難行動の重要性を認識しました。そして日頃の支え合いなど、地域のつながりが必要だと強く感じました。超高齢社会の到来や地域コミュニティの希薄化に対応し、誰もが安心して暮らすためには、行政だけでなく多様な方々による活動とご協力が欠かせません」
―つながりを持とうという取り組みで成果はありましたか。
「区内で活動する文化芸術などの団体代表者が集う場をこれまで設けてきましたが、その拡大版として昨年9月に代表以外の方やパラアート関係者などにも参加して頂いた『カフェ・グランデあさお』を開催しました。ここでは新たな連携も期待できる会となりました。11月中旬からはまちづくり団体や地元の大学、鉄道関係者などの協力で新百合ヶ丘駅に設置されたステーションピアノが好評でした。お子さんから高齢者までルールを守って演奏している風景は、文化芸術の土壌がある麻生区ならではの雰囲気だなと思います」
地域の力 強固に
―2020年に進展させたいことは。
「地域防災力の向上を考え、引き続き防災訓練を実施します。また自己診断ツール『ちいきのちからシート』の周知を通じて、家庭でも個人でもできる“防災スキルを学ぶ”“備えを学ぶ”取り組みを進めていきます。また地下鉄の延伸については、中間駅を含めたルートが今年度中に選定されます。区も川崎市のまちづくり方針と歩調を合わせて考えていきます。ほかにも昨年実施した『カフェ・グランデあさお』の開催を考えています。次回はどなたでも参加できるように間口を広げて、そこから新たな連携が生まれれば良いと思っています」
―区では希望のシナリオプロジェクト、まちのひろば募集で新たな区の姿を模索しています。
「10年後こうだったら良いなという区の姿、つまり多様なつながりや居場所がある市民創発の社会が『希望のシナリオ』です。それを実現させるため、多くの方々が対話を重ねていくのがこのプロジェクトとなります」
「住み続けたい麻生に」
「プロジェクトは1月26日のキックオフイベントに向け参加者を募集しています。『まちのひろば』は誰でも気軽に行ける居場所やつながりが生まれる場のことで、区内100カ所を目指して募集を行っています」
―区長が考える区の理想の姿とは。
「麻生区は市民活動団体や町会、大学、事業者などがさまざまな連携の中で活動しています。この現状を大切にしながら緩やかに、または強固に結ばれ輪が広がることで安全安心や生きがいづくりといった効果が生まれます。これまでの土壌を尊重し、社会状況に即した新たな取り組みも生まれるまちになることを期待しています」
―今年の重点施策をお聞かせください。
「高齢者の見守りなどに役立ち、地域全体で健康への関心を高めるために、これまで福祉施設などで行ってきた感染症対策の講座を来年度はだれでも参加できる公開方式にしようと考えています。子育て世代に向けては、現在、未就学児を守る防災ノウハウをまとめた冊子『ぼうさいポケット』の改定作業を行っています。これは家庭向けにリーフレットの配布も予定しています。また来年度は子育て関係の情報冊子『こそだてポケット』のリニューアルを目指します。これは成長段階に応じて保育士などの経験や知識を活かしたもので、関連施設に配布する予定です」
―区民にメッセージを
「麻生区には自然豊かで文化的にも恵まれた環境があります。そういった地域資源を大切にしながら、職員一同、皆様と共に『住み続けたい』『住んでみたい』と思われる区を目指していきます」
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