区内黒川の「市川進養鶏場」に昨年完成した、鶏のストレスをできる限り少なくする「アニマルウェルフェア」型の鶏舎。このほど「株式会社黒川たまご」に法人化し、本格的に稼働を始めている。同型の鶏舎は市内初、県内でも数が少ないことから、県から調査依頼を受けている。「今後も消費者に安心な卵を届けたい」と代表の市川雅貴さんは話す。
同養鶏場は、市川さんの父親が27年前に始め、雅貴さんが6年前に2代目として後を継いだ。純国産の鶏「もみじ」を飼育。卵はJAの直売所セレサモスや、柿生野菜生産者直売会の直売所などで販売するほか、区内の洋菓子店、カフェなどにも卸しており、人気を博している。
「アニマルウェルフェア」は、家畜にとってストレスや苦痛の少ない飼育環境を目指す考え方のこと。快適な環境下で家畜を飼養することで、生産性の向上や安全な畜産物の生産にもつながるとされている。世界的にこうした考え方の飼育環境が広がっており、国内でも農林水産省が普及に努めている。
同養鶏場では昨年、「近い将来国内でも義務化されるはず」と、鶏舎の建て替え時に、このアニマルウェルフェア型の養鶏場を導入した。
約300平方メートルの鶏舎は、3段式のケージで3500羽を飼育している。鶏舎の一部屋をこれまでの幅40センチ・奥行き60センチから、4メートル・奥行き1メートルに広げることで鶏が自由に動き回るスペースを確保。鶏は高いところで眠る習性があることから、各部屋に止まり木を設置し、隠れて卵を産めるようにカーテンも取り付けた。換気や太陽光を入れるためにカーテン式の窓を採用するなど、鶏のストレスを軽減する環境を取り入れた。市川さんは「卵の質が高まったかはまだわからないが、生産率は上がった」と導入後の違いを話す。
アニマルウェルフェアを取り入れた鶏舎は県内でも数が少ないため、県から飼育や生産など、取り組みに関する調査依頼を受けており、今後協力していく予定だ。「まだ鶏が入る余裕はあるが、数は今が良い状態。ケージでもストレスの少ない環境で育てることで、皆さんに安心して卵を食べてもらえたら」と話している。
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