意見広告・議会報告
連載99 川崎市が推進する「太陽光パネル設置義務化」について みらい川崎市議会議員団 こば りか子
川崎市は、延べ床面積年間5千平方メートル以上建築する大手ハウスメーカーと、2千平方メートル以上の集合住宅等を建築・供給するオーナーに対し、新増築する建築物への太陽光パネル設置の義務化を求める旨を表明しました。
国は、2030年までに太陽光パネルが設置可能な建築物の約50%、2040年には100%の設置を目指すとしています。脱炭素化社会実現に向けた施策を強固に推進することは、今を生きる私たち世代に課せられた使命だと考えますが、市が義務化実施に踏み切ることは、議会で議論する機会も少なく、何より市民理解が進んでいないことから時期尚早だと考えます。
早急に進める理由として、市は令和元年度における本市の温室効果ガス排出量が2139万t-CO₂と政令市で最も多いことを挙げ、人口規模が同レベルの福岡市や京都市の3.3倍排出しているとしています。しかし、市全体の排出量の8割は、市域のCO₂排出上位10事業者で占めています。その内の4割を占めるJFEスチール(株)が令和5年度に高炉を休止するため、その時点で700万t-CO₂削減されます。その結果、川崎市は政令市で排出量の多さが5番目となります。また、新増築住宅への義務化で削減される排出量は、わずか1.4万t-CO₂、現状の1%にも満たない見込みです。
一方、上位10事業者のひとつである川崎市役所は40万t-CO₂排出していますが、建設中の新本庁舎でさえ、消費電力2400kw中、0.83%の発電量である太20kwの太陽光パネルしか設置されません。既存の区役所や市民館、学校などにも、現状では十分な発電量を満たすものは、ほとんど設置されていません。そもそも災害時に、対策本部が設置される本庁舎や、避難所等に指定される公共施設こそ、積極的に太陽光発電設備と蓄電池を設置すべきと考えます。
太陽光パネルの課題については、東京都が義務化を市は最大限努めることを求めています表明して以降、様々な憶測や間違った情報も拡散され、余計不安に感じる方も多いと思います。太陽光発電には、自然災害への備えや、電力価格高騰から家計を守る等のメリットがある一方、雨漏りや、設置環境により発電量が安定しない、反射光問題などで近隣トラブルが発生する可能性が懸念されるなど、デメリットも多くあります。さらに火災の際に、感電の恐れがあり、水で消火できないというデマも流布されています。
「義務化」はあくまでも『ハウスメーカーに対して』であり、『設置の可否は建築主が義務化対象のハウスメーカーを選ばなければ良いだけ』との発言もありますが、「条例を改正して義務化する」ということは必ず市民に負担を生じます。そこで、現在開会されている定例会では、こうした市民の不安を払拭し理解を得るために、各区で説明会を実施することなど、市に最大限努めることを求めています。
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