バリトン歌手で、2022年度川崎市アゼリア輝賞に選ばれた 市川 宥一郎さん 片平在住 31歳
継続と探求を力に
○…川崎市が文化・芸術分野の若手に贈る「アゼリア輝賞」に、期待のバリトン歌手として選ばれた。登戸出身で、現在は昭和音楽大で後進育成にあたるなど、川崎とは縁深い。受賞の喜びを「生まれ育って、今も住んでいる川崎市から賞をいただけたのは素直にうれしい。市から認められるとは想像していなかった」と笑顔で表す。賞に満足せず「舞台から発信することを続けたい」と思いを新たにする。
○…幼少から舞台に立つことを夢見てダンスレッスンに励み、ミュージカル『アニー』にも出演した。昭和音楽大の声楽科へ進むと、そこでオペラにハマっていく。オペラの魅力は「私生活で感じられない物語が、生の歌声とオーケストラの生音に乗って広がり客席に届くこと」と力を込める。「渋い役が多い」というバリトンだが、2017年に演じた『ドン・ジョヴァンニ』はプレイボーイ。「普段は味わえないので役得だった」とお気に入りの役だ。
○…歌手への道のりは順調ではなかった。学生の頃は、上手い同期の存在や体全体を使う歌い方に悩みも多く、「現実から逃げるようにコンビニでバイトをしていた」と振り返る。辞めることもよぎったが、21年に挑戦した国内有数のコンクール「日伊声楽コンコルソ」で第1位を受賞。「信じられなかったけれど、やってきたことが証明された」。一つ殻を打ち破った瞬間だった。
○…歌で表現するためにオーケストラの動きや音楽知識を学ぶことも重要で、日々勉強に励む。休日は体を休めるためにインドア中心だが、今年は旅など外でも過ごしたいという。以前訪れた徳島で自然に感化された。「外からエネルギーを吸収し、舞台の表現に生かしていきたい」。継続と探求心で進化し続ける。
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