KAWASAKIしんゆり映画祭の事務局として働く 大多喜 ゆかりさん 万福寺在勤 43歳
人、作品と出会いを重ね
○…今回で29回目を迎え、11月5日まで川崎市アートセンターで開催されているKAWASAKIしんゆり映画祭。事務局を担当し、地域、行政の協力を得ながら、市民と共につくり上げてきた。今年選ばれたのは、好きなものを来場者と共有したいという、スタッフの強い思いが込められた13作品。「自分では選ばない作品と出会えることが映画祭の魅力」と新たな視点を発見できる場になるよう心血を注ぐ。
○…多摩区出身。運動が好きだった幼少期を過ごし、高校生の頃は「知らない時代を生き生きと語る人」に憧れた。地域のことを深く知る人に取材し小論文を書いたことも。大学では人文学を中心に、心理学や教育学などを学んだほか、手話通訳を行う団体に所属するなど、他学部や障害者との交流を深めた。
○…同映画祭との出会いは学生時代。当時心酔していた亡き映画評論家の追悼上映に足を運んだ際、多様な作品の数に圧倒された。その中で偶然見た音楽映画は、上映後に客席から立てなくなるほどの衝撃を受けた。「映画祭はいい意味でハプニングのようなもの。無意識に避けていた作品を見ることで人生観が変わる」。英会話学校に勤めながら映画祭の市民ボランティアに1年間参加したあと、好機に恵まれ事務局で働くことに。以来11年間、映画祭とともに歩んできた。
○…企画の中で中学生向けの映画制作教室を運営し、次世代への映像文化の伝承を目指す。動画が身近になった時代の中で「見る人を意識した」コンテンツ制作の機会を提供する。普段とは異なるコミュニティー内での活動を通じ、子どもたちの新たな居場所をつくれるよう全力を尽くす。「表現したいことの礎を築くきっかけになれば」と未来に期待を込める。
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