結成20周年を迎える「しまりすアートクラブ」で講師を務める 太田 行英(やすひで)さん 多摩美在住 87歳
経験生きる講師の道
○…王禅寺を拠点に音楽、クラフトなどを教える「しまりすアートクラブ」。クラブが創設された20年前から、専用の電熱ペンで木の板を焦がして描くアート・焼き絵の講師として、活動を続けてきた。先月行われた記念作品展では、新作のほか、過去にコンテストでグランプリを受賞した大作も展示し、来場者を魅了した。「出展し続け10年目でやっと最優秀賞をもらえた作品。造形の要素も取り入れ、迫力のある仕上がりになった」と笑顔を見せる。
○…大学は建築科で学ぶも、意識の低い周囲との差に違和感を抱いた。その時偶然見かけた防衛大学生の凛とした姿に惹かれ、すぐに受験。30倍以上の倍率を勝ち抜き、翌年から入校した。厳しい訓練や寮生活を乗り越え、卒業後は海上自衛隊のヘリコプターパイロットとして任務にあたった。教官を務めるなど、後進育成にも励んだ。
○…55歳で退任した後は仕事漬けの日々から一転、趣味に時間を費やした。幼い頃からもの作りが好きだったことや、木そのものを美しく見せる表現の面白味に魅せられ、木片から鳥を彫り出す「バードカービング」や焼き絵に没頭した。講師の資格も取得し、クラブで教えることに。「仕事も焼き絵も、自分ではなく本人がどう考えて取り組むかを一番に教えてきた」と主体性を尊重する自身の指導を説く。
○…訓練の中で陸上やラグビー、水泳など幅広いスポーツに触れてきたが、一つにのめり込んだことはなかった。そんな中で今、夢中になっているのは、70歳を超えてから始めた卓球。「運動量も多すぎず本当に楽しい。週の半分以上は卓球にあてているんです」と照れ笑い。これからはチームを越えた「融和団結」を目指し、交流の広がりを楽しんでいく。
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