能登半島地震では断水の長期化により、災害時のトイレ対応の重要性が浮き彫りとなった。地震発生から間もなく3カ月を迎える中、本紙は川崎市の災害用トイレの備蓄状況について調査を行った。
川崎市は市内全域で震度6程度の「川崎市直下型地震」を最も被害の大きい地震と想定し、備蓄を進めている。市危機管理本部によると、この直下型地震での災害用トイレの使用者数は26万7720人に上ると見込む。「避難所だけでなく、自宅トイレが使えなくなる想定を加味した人数」とも市担当者は説明する。
市が備蓄する災害用トイレの内訳は3月1日時点で、マンホールトイレ27カ所220穴▽仮設トイレ3021基▽携帯トイレ171万8050枚としている。トイレの平均的な使用回数や個数については、内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」で目安が示されている。それによると、トイレの回数は一人1日当たり5回、仮設トイレの個数は災害発生当初は避難者約50人当たり1基が目安。市備蓄計画もこれを参考に策定し、仮設トイレ、マンホールトイレについては1基で60人に対応としている。災害用トイレに関する民間企業との連携について、市は携帯トイレ、仮設トイレに関する協定をそれぞれ1社ずつ締結する。
能登半島地震ではトイレの衛生問題もクローズアップ。市担当者の一人は「川崎の地域事情を考慮しながらトイレのあり方を考えることも必要かもしれない」との認識を示す。
市が2021年度に実施した『かわさき市民アンケート』では、携帯トイレを備えていないと回答した割合が60・7%に上り、3日分以上備えている人は、19・1%にとどまった。市は災害時に自宅が安全なら避難所に行かずにとどまる「在宅避難」を推進する。市は「引き続き家庭内の備蓄を呼び掛けていきたい」としている。
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