里山に多く群生するコナラなどブナ科の樹木を枯らしてしまう伝染病「ナラ枯れ」が区内でも深刻な状況となっている。公園などを管理するボランティアらが今年8月ごろから被害を確認。麻生区役所道路公園センターは「被害状況の確認を行っているが、エリアも広く、数も多いため正確な状況は分かっていない」と話す。
県内各地で被害報告が続くナラ枯れは、「ナラ菌」を媒介する昆虫がコナラやクヌギなどのブナ科の樹木に穿入することで、集団枯死させてしまう。水を吸い上げる機能が失われ、葉が急速に赤褐色に変色する。
区内では8月末ごろから被害報告が相次ぐ。9月中旬までに区道路公園センターが確認した被害木は38本だったが、10月中旬までには倍近くが確認されている。「数など正確な被害状況は確認できていない」と同センターの担当者は話す。
ナラ枯れが進行すると枯死し倒木の恐れがあるため、同センターは「ナラ枯れ被害の木だけでなく、老木など別の要因で倒木の恐れがある木を順番に対応していく。人的被害を出さないことを優先に行っていきたい」としている。
区内の公園などで自然環境を管理するボランティア団体らが10月24日、県の専門家などを招き学習会を開催した。企画した当初から問い合わせがあり、会場の都合で50人ほどの参加となったが、ナラ枯れに対する関心の高さが伺えた。
学習会では県森林協会専務理事の西口孝雄氏や県横浜川崎地区農政事務所の倉野知子氏が登壇し、県内の状況や対応策を紹介。感染後の対応や、予防策など他地域での実施例をあげながら説明したが、完全な対策はなく、参加者から「どうしていいかわからない」という声も聞かれ、「区内だけでも100本単位の被害もあるのでは」との指摘もあった。
対策は有志頼み
被害木の対応は現在、ボランティア団体らが中心になって行っている。「感染している木を、自分たちだけでは切り倒すことはできない。また薬剤の購入もままならない状況だ。予算も資材もない。自治体が積極的に取り組んでもらいたい」と話す参加者もいた。遊歩道沿いに感染している木がある多摩美の森の会では、対象の木に赤いテープを巻き、状況を見守る。すぐに倒木する恐れはないとするが、「対策は進んでいない」。
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