10月17日告示、31日に投開票される川崎市長選挙。本紙は2期目・4年間の福田市政を2回にわたり検証する。
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人口が154万人を超え、若い世代を中心に転入増が続く全国でもまれな川崎市。福田市長が力を入れてきた取り組みの一つが、子どもや子育て支援などの社会保障だ。
福田市政が始まった2013年、認可保育所などに入れない待機児童は438人いたが、保育施設の整備を積極的に進め、2年後に解消。その後再び報告されたが、今春4年ぶりにゼロとなった。希望どおり入所できない保留児童は利用申請者の12%(13年)だったが、申請者が8年間で1万3千人増える中、今年は5%に改善した。
小児医療費は17年に通院費の助成を小学6年生までに拡大し、19年には中学生までの入院費の助成で所得制限を撤廃。17年に導入した市内全52校での中学校給食は、市内3カ所に給食センターを開設し、年間20億円超を投じて運営を続ける。
大規模事業も影響か
市は財政健全化を掲げる一方、大幅な収支不足に陥っている。借金返済に充てる減債基金からの借り入れは、12年度から総額938億円に上る。今年度はコロナの影響もあり、国からの普通交付税で財源を補う交付団体に6年ぶりに転じた。それでも、南武線高架化や市民ミュージアムの移転再建、等々力陸上競技場の改修など大規模投資事業を計画。一時は見送る姿勢を見せた高架化事業も、費用を抑えた工法で進める方針を示した。
市内施設の老朽化に対するインフラ整備も視野に入れる。19年の台風被害の復旧には20年度までに176億円。コロナ関連では前年度に1975億円、今年度も217億円の予算を計上するなど歳出は膨らむ一方だ。
市税収入の見通しも厳しい。コロナ下、市は「川崎じもと応援券」をはじめとする経済対策を打ち出したが、経営悪化で融資を受ける中小企業は少なくない。JFEスチール東日本製鉄所京浜地区が昨年発表した高炉休止も、関連企業が多い市内に大きな衝撃を与えた。市長は「地域経済や雇用への影響を最小限に抑える対策を協議する」と即日コメントした。
ふるさと納税の流出額も年々増え、今年度は69億円と推計。市長は6月、国に対して財政措置を要請している。
生命守る対策急務
市政の課題は、財政健全化と市民サービス提供とのバランスだが、市民の生命と安全を守る事業は中断できない。自然災害への備えとして上下水道施設の耐震化、避難所運営の体制強化、自主防災組織の活動支援は必須。危機管理担当の職員には、知識や経験を市民に伝達する使命がある。
コロナ対策で市は1月、ワクチン集団接種訓練を全国に先駆け実施。医療機関と連携し早期接種を進め、2回接種者は9月末時点で5割を超えた。感染が低年齢層に広がり、懸念される第6波への備えは急務。自宅療養者の生活支援をはじめ、児童施設や学校への施策も不可欠だ。
〈※次回は福田市政2期目の主な政策について振り返る〉
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