麻生消防署(秋葉達也署長)は1月19日、「文化財防火デー」に合わせて、市指定文化財がある白山神社で消防訓練を行った。
1949年1月26日に、法隆寺(奈良県)金堂壁画が火災によって焼損したことを受けて、現在の文化庁、消防庁が1月26日を「文化財防火デー」に制定。この日に合わせて、文化財を火災等の災害から守るため、毎年、全国で消防訓練が行われている。
白山神社で実施するのは、2019年以来、3年ぶり。今回は、同署、麻生消防団、神社関係者が28人が参加した。訓練は、火災を想定し、関係者が119番通報を行い、荷物を搬出。その後、消防署員による放水までを行った。秋葉署長は「文化財を守るためには、消防機関だけではなく、多くの方の協力が不可欠。今回の訓練をきっかけに文化財の愛護に関心を持ち、防火防災に取り組んでほしい」と区民に呼び掛けた。
江戸時代創設の本殿
白山神社は、旧王禅寺村眞福寺谷の鎮守で、1706年(宝永3年)の王禅寺村絵図にその名があるため、江戸時代初期には創立していたとされるが、詳細は不明。
同神社にある指定文化財は、江戸時代の1851年(嘉永4年)に完成した本殿。小規模な総欅・素木(しらき)造りの建物で、向拝柱(ごはいばしら)・木鼻などには躍動的な獅子や龍など多彩な彫刻装飾が施されている。幕末期の特徴をよく示しているとして、1996年に市重要歴史記念物に指定された。普段は非公開で、正月や例大祭などの祈祷時のみ、見ることができるという。
同神社の池田貞明宮司は「文化財を後世に伝えていくことが神社の大切な使命。そのためにも我々だけでは難しく、消防署、消防団の協力があってできるので、心強く、感謝している」と今回の訓練を振り返った。
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