80周年記念公演を行う藤原歌劇団を取りまとめてきた日本オペラ振興会常任理事 下八川 共祐さん 金程在住 72歳
観客の喜ぶ姿追い求め
○…80周年という節目に天才と称するヴェルディの名作「ファルスタッフ」を上演することになり、「運命を感じる」。藤原歌劇団には1973年から制作スタッフとして携わってきた。同歌劇団を初代総監督とともに創設した二代目総監督の父・圭祐さんが亡くなり1980年、代表に就任。「色々な浮き沈みがあった」と感慨深げに語る。高額な経費のかかるオペラ公演を経済的に安定させようと1981年、公益財団法人日本オペラ振興会を設立。同振興会に所属となった藤原歌劇団でプロデューサーなどを務め、日本最古のオペラ団体を支えてきた。
○…幼い頃から、父親が時には病気でも仕事をし苦労する姿を見てきたため、「最初はオペラをせざるをえないという感じだった」と振り返る。しかし、藤原歌劇団で制作に携わるうちに徐々にその素晴らしさに気づき、のめり込んでいったという。作り手同士でぶつかり合うこともあったが、「すべての苦労は、公演後におこる大拍手と、お客さんが帰っていく時に見せる喜ぶ姿で吹き飛んでしまう」と語る。
○…現在、昭和音楽大学などが属する学校法人東成学園の理事長を務める。藤原歌劇団での経験から、特に経営面で同学園を支えている。オペラからミュージカルまで多種なコースがあるので「学生たちには専門的な一生分の勉強をし、他の仕事に就いたとしてもそれぞれの音楽を追求していってほしい」。
○…音楽漬けの日々を送る。「CDなどは資料にすぎない。音楽は生で聴かなければ」と愛情は計り知れない。藤原歌劇団では、当時の阿部孝夫市長からの要請もあり、アルテリッカしんゆりには第1回から参加している。子どもたちにオペラを普及しようと、全国の小中学校で巡回公演も行い、「将来的には川崎市の学校でも実現させたい」。これからもオペラの素晴らしさや感動を伝え、観客の喜ぶ姿を追い求めていく。
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