計画停電 救急病院で手術できぬ 医療現場から悲鳴
4月8日に打ち切りが決まった計画停電では、停電を受けた地域の医療機関からは「救命救急や重症患者への治療を施すことができない」との声が挙がった。夏場には電力不足が生じることが懸念されることから、「再び停電を受けるのでは」との心配の声も聞かれる。医療現場の実態をもっと反映してもらいたいと訴える。
警鐘を鳴らすのは、幸区都町にある川崎幸病院。【グループ4-D】に属し、3月14日以降、これまで4回の停電を受けた。
同病院は川崎市消防局だけでも市内2位となる年間4587件の救急患者の受け入れを行っている救急病院。実は市内で2千件以上の救急患者の受け入れを行う病院の中で計画停電から除外されていないのは、同病院だけ。幸区内で計画停電から除外されている病院は一つもなく、停電が行われた日の同病院に隣接する病院ではかなりの無理を強いられたようだ。
総合病院の多くは自家発電装置を備え、停電の際、最低限の必要な治療を施すことができる。同病院でも人工呼吸器や集中治療室の機器や空調を稼動させる自家発電装置を持ち、診療体制を整えているという。しかし、長い場合10時間以上の手術となる大動脈瘤などの治療となると話は別だ。「自家発電装置は電圧が不安定なため、精密な医療機器を使用するには不安が残る」と、同病院を運営する社会医療法人石心会理事長で日本病院会常任理事の石井暎禧さんは指摘する。
心臓疾患、脳卒中患者は迅速な診断、治療が求められる上、治療を行う病院は限られる。川崎幸病院は心臓疾患、脳卒中治療では地域の中核を担い、中でも大動脈瘤の手術数は全国でもトップクラス。全国の他の病院から紹介を受けた患者が多く集まる。
計画停電を受け、同病院では緊急性の高い疾患に対しては可能な限り他病院への転院手続きを行ったり、中にはリスクがあることを十分説明した上で手術を実施するケースもある。
実態把握の上、実施を
それ以外の患者に対しては「手術の延期や手術時間の調整で対処せざるを得ない」というのが現状だ。「調整をしている間に大動脈瘤が破裂してしまう恐れがある」と石井さんは語る。
治療の延期は医師や看護師の勤務スケジュールにも影響を及した。震災直後、同病院では被災地への医療スタッフを派遣を検討していたが出来ない状況にある」とも嘆く。
これに対し、東京電力の担当者によると、計画停電実施以降、国や県の指定する救命救急病院については極力除外するよう務めているとするが、全てを把握しきれていないと話す。
計画停電自体は原則打ち切りが決まったものの、夏場には電力不足で再び停電が起こる可能性は残る。その際「今のような計画停電がある限り医療にとっては大問題である。実態を把握した上で見直しを図ってもらいたい」と石井さんは訴える。
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