幸区鹿島田在住の佐藤好行さん(68)が「一人でできるSDGs(持続可能な開発目標)」を掲げ、昨年11月、自宅前に誰でも自由に使える給水スポットを設置した。企業や団体などの取り組みが注目されがちだが、佐藤さんは「一人ひとりの小さな活動の積み重ねも、SDGsの実現につながる」と強調する。
環境汚染や貧困問題などの課題を2030年までに解決しようと、国連が掲げた17の目標、SDGs。若い頃から海が好きだった佐藤さんは環境問題に関心があり、プラスチックごみが海を汚染している現状を憂う。マイボトルを持つ人が増えて、ペットボトルが減少すれば、「目標14番、海の豊かさを守ろう」につながると考え、給水スポットを設置した。設備は佐藤さんの手作り。ネットショップでホースや蛇口などを購入し、プレートもオリジナルで作り、かかった費用は1万円弱。玄関前のウイスキー樽の鉢の上に作成し、「利用するとき、絶対に水がこぼれるから、植物に水やりする手間が省けて一石二鳥」と笑う。佐藤さんの自宅は鹿島田駅と新川崎駅の中間に位置し、飲食店が並ぶ人通りの多い道に面しており、「夏には多くの人に使ってもらえるのでは」と期待する。
住みやすい町づくりを
20代の頃、毎週末、三浦半島の油壷へ素潜りに出かけていた。そこでいつもごみ拾いをしていた「赤ふんどしのおじさん」が環境問題に関心を持った原点。歳をとったらこういう活動をしようと漠然と思ったそうだ。3、4年前からは週に1度、新川崎駅と鹿島田1丁目公園でたばこの吸い殻拾いも行う。たばこの吸い殻は雨などで流され、下水溝を経て、河川から海へと流れる。「陸での活動も、海を守ることになる」と意気込む。吸い殻拾いをしていて、同様にごみ拾いをする人がいることに気付いた。声を掛けることにためらっていたが、最近、駅前での活動中に、見知らぬ人に「おはようございます」とあいさつされ、気軽に声を掛ければいいんだと分かった。「ごみ拾いを通じた横のつながりを作りたい」とも話す。町内会の清掃委員にも立候補するつもりだ。
佐藤さんは「目標11番、住み続けられるまちづくりを」をテーマに掲げる、NPO法人鹿島田・新川崎まちづくりの会のメンバーでもある。同会が市のSDGsパートナーだったことが縁で、東小倉小学校のSDGsの授業に招かれた。「ごみを捨てたくなるようなごみ箱」など、子どもならではの発想に感銘を受けた。「SDGsをきっかけに地域の輪が広がれば、住みやすい町づくりにつながるんじゃないかな」と期待をする。
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