「包括的性教育からジェンダー平等を考えよう」をテーマに、1月23日、オンラインで対話会が開催された。主催したのは、世代を超えてジェンダー平等について考える機会を提供しようと、意見交換会などを定期的に実施している市民団体「ジェンクロス・カワサキ」。当日のユーチューブ生配信は30人程が視聴。開催後も動画を一般公開しており、2月3日時点で視聴回数は200回を超えた。代表の岡田恵利子さんは「関心の高さが感じられた。団体発足から1年、今年度の集大成として実のある企画となった」と振り返る。
対話会には多摩区選出の市議会議員、看護師で助産師の「のんさん」、民間組織・性の健康イニシアチブを主宰する柳田正芳さんがパネリストとして登場。各分野の視点から、現状の性教育の課題や、自分たちに今できることなどについて意見を交わした。
学習指導要領がハードルの一因
対話会では、日本の性教育が進んでいない状況が課題に挙がった。のんさんは学習指導要領の「歯止め規定」を紹介。中学1年生の保健体育では、「妊娠の経過は取り扱わない」などとされている例を挙げながら、「性交や多様な性についてなど『触れないこと』が多くある」と指摘。学校において必要と判断した場合は指導可能だが、学校長の意向や教員の関心の高さ、保護者の理解を得られるかどうかなどに左右されるという。また、中学3年間の性教育に充てられる時間は合計平均9・19時間というデータも示された。
「多様性認め合う」
包括的性教育では、段階的に分けられた年齢グループに合わせた指導内容が設定されている。内容は「人間関係」「人権」「ジェンダーの理解」など、身体の発達や妊娠、出産に関わること以外も含め、多角的な視点での学習目標が設定されている。パネリストらは「性教育の本質は人権。一人の人として、自分も相手も大切にすることを学ぶことが重要」と話した。また、対話会を機に、「多様性を認め合うことについて改めて考えてほしい」と視聴者らに呼び掛けた。
参加者からは「子どもと性の話をすることにハードルを感じる」という声も。柳田さんは「常日頃からのコミュニケーションが大切。いつも見守っているということが分かっていれば、いざ困ったときに手遅れになる前に相談してくれる」とし、「家庭で話にくい場合は地域の相談窓口なども活用してみては」とアドバイスを送った。
岡田さんは、包括的性教育の年齢分けで「15歳〜18歳以上」と示されていることに関して、「大人も情報をアップデートして学び続ける必要があるという点が印象深かった」と話し、「時代とともにジェンダーに関する視点も変化している。まずは関心を持って学んでみること」と総括した。
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