外国人人材を積極的に受け入れる企業から、その心構えや課題、職場で活躍する外国人の生の声を聞くセミナーが12月6日、幸区大宮町の起業家支援拠点「K―NIC」で開かれた。
川崎市産業振興財団(幸区堀川町/三浦淳理事長)が主催した同セミナーには、約60人の企業関係者が出席した。
同財団が発行する『産業情報かわさき』によると、2022年10月時点の外国人労働者数は全国で182万2725人で前年比で約9万5千人増加。また、同財団が発行した21年度の『外国人雇用・就労支援等検討会報告書』によると、20年の川崎市の外国人労働者は全体で4万5361人にのぼる。同セミナーは、外国人材が活躍できる企業づくりや地域社会の形成に向け、情報の共有・発信の場づくりとして企画された。
コミュニケーション重要
セミナーでは、埼玉県の特殊銅合金メーカー・大和合金(株)で働く3人の外国人が仕事のやりがいなどを紹介。ジャマイカ出身のジリアン・フレッチャーさんは「挑戦と成長のチャンス」と受け止めて入社。「外国人も歓迎されている雰囲気の良さがいい。仕事だけでなく自分の趣味が楽しめる」と語った。デンマーク出身のクリスチャン・ラスムッセンさんは「自分の意見が言える職場であることがいい。共生社会に向けては文化が異なってもコミュニケーションできる雰囲気が大事」と強調。フィリピン出身のクリスタベール・アーシラさんは家族みたいな温かさに惹かれて入社。「日本人も外国人もオープンマインド(心を開くこと)を意識することで、互いに協力しあえる社会が作れる」と述べた。
現場での取り組み紹介
パネルディスカッションでは、外国人が働く中小企業や研究機関の社長らが登壇し意見交換を行った。永井浩二iCONM(ナノ医療イノベーションセンター)副センター長はオープンスペースを設け、所属、人種の違う研究者が自由な発想を語り合う雰囲気づくりと一緒に取り組める企画を考えてイノベーションにつなげていると紹介。萩野源次郎大和合金(株)代表取締役社長は、外国人の感性を大切にし、海外交渉を任せているとし「製品の輸出が10年前は1〜2%だったが15%にまで伸びた。ハングリー精神の海外人材の頑張りにほかならない」と強調した。板金加工業の赤原宗一郎(株)赤原製作所代表取締役は社員の7割強が外国人であると述べ「伝わらないことがあるのは伝える側の責任を会社のルールにしている」と語った。採用に際しては人間性や人柄を重視と強調。労働者人口が減少する中「外国人を安くこきつかうのはもってのほか。外国の方が来てくれるような国にしなければならない」と力を込めた。
同財団によると、セミナーは年2〜3回開催される予定。
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