JR川崎駅北口の「川崎浮世絵ギャラリー〜斎藤文夫コレクション〜」で「SHO(笑)TIME!戯画展」の後期展が6月23日(日)まで開催されている。
戯画とは、戯れに描いた滑稽な絵のことを言い、楽しむことを目的にしたもの。後期展では戯画を得意とした幕末の浮世絵師・歌川広景(ひろかげ)の「江戸名所道外尽(どうけづくし)」の全50図を展示する。江戸の街角で繰り広げられる「ドタバタ劇」が生き生きと描かれている。
今回のメインビジュアルにも使われている「江戸名所道戯尽 二 両国の夕立」は、両国橋の下を流れる隅田川に天から落ちてしまった雷様の尻子玉を狙う河童の様子を描いた作品。雷様は屁を放ち、河童は鼻をつまんでいる。これは大津絵の画題「雷公の太鼓釣り」を元にしており、太鼓を落とした雷様が黒雲から乗り出してその太鼓を釣ろうとしている図柄。「熟練した者でも時には失敗することがある」という例えになっている。
広景は初代・歌川広重の弟子とも言われている(詳細不明)。今回の展示では図柄の典拠となった広重作品12点との見比べもできる。また、広景と同一人物とも言われている昇斎一景の作品も合わせて展示される。
学芸員の山本野理子さんは「50点そろっているのはとても貴重。当時の人々の営みが垣間見える江戸のドタバタ劇を楽しんでもらえれば」と話している。
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