増大する救急需要に対応するため、川崎市は今年度から、AIなどデジタル技術を使った救急業務効率化の取り組みを本格化させている。
市内の救急出動件数は、コロナ禍のただ中だった2020〜21年は減少したものの、過去10年間で増加の一途をたどり、23年は過去最多の8万7592件だった。需要が増えている影響で、救急車が現場に到着するまでの時間が8分台から10分台(22年)へと延びたうえ、出動対応の増加に伴う救急隊員の負担増も、大きな課題だ。
そのため市は、22年度に民間4社と連携協定を結び、過去の救急要請件数などのビッグデータをもとに、救急需要をAIで予測する実証実験を実施した。23年度からはこの結果を受けて開発したシステムを運用試行。今年度もシステムを使った需要予測を試行し、修正点などを蓄積している。
担当の市消防局警防部救急課によれば、具体的なシステムの運用方法としては、2日後の天気予報と過去の救急要請データをAIが4時間おきに予測。その結果、「多い」と予測が出れば、市内8消防署に1台ずつ配備してある非常用救急車を使って、追加で救急隊を稼働する可能性を情報共有する。通常なら1日あたり30隊の編成だが、30隊がフル稼働となれば、追加の救急隊がすみやかに稼働できる態勢づくりを進めている。
市消防局の担当者は「現段階では人員や車両の都合もあり、容易に追加の救急隊を稼働することが難しい段階だが、システムを有効活用して実現可能な方法を模索していく」と話している。
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