障がいのある人や依存症の人などが犯罪やトラブルの「加害者」として当事者になった際、各分野の支援者が連携して支援にあたることで当事者の社会的孤立を防ぐ「トラブルシューターネットワーク(TSネット)」が全国的に広がりを見せている。川崎でも任意団体「かわさきTSネットワーク(かわさきTS)」が今年1月に発足し、活動を始めている。
「かわさきTS」を立ち上げたのは、介護や障がい者支援に取り組むNPO法人「ホッとスペース中原」職員の福正(ふくしょう)大輔さん(42)、生活困窮世帯の若者たちを支援する「ブリュッケ」センター長の三瓶三絵さん、アルコールや薬物などの依存症者のための中間支援施設「川崎マック」施設長の青木知明さん(57)。
今年1月のキックオフイベントには、障がい者の家族や支援者、刑務所や少年院などを出た人の更生保護施設の関係者など、市内で活動する約70人が参加し、「かわさきTS」設立の趣旨や方向性などを共有した。
「かわさきTS」の活動イメージについて、発起人の福正さんは、複数の支援者が連携した実例を挙げて説明。他県の刑務所を出所するアルコール依存症者が川崎行きを望んでいるとの相談が届き、青木さんの協力で、住居探しや就労支援につなげ、日々の困りごとにも伴走しているという。「こんな風に『顔の見える支援者のネットワーク』によって『人垣』のような支援で包み込むことで、当事者が社会復帰しやすく、当事者も以外の人も共に暮らしやすい地域づくりを目指したい」
「元当事者」も重要
知的障がいや発達障がいの関連で性的な犯罪や問題行動を起こす当事者への支援では、再犯防止プログラムの一つで多くの支援団体が採用している「キープセーフ・プログラム」に取り組んでもらう。その一方で、障がいや依存症などへの知識がない地域住民に対しては、問題を克服して社会生活を送る「元当事者たち」の存在を伝え続けることで「関係性を変えていきたい」(青木さん)という。
福正さんも青木さんもかつてアルコールや薬物の依存症に苦しんだが、手厚い支援を得て回復し、支援者となった。福正さんは「一人ひとりに伴走して地域に『大丈夫だね』と知ってもらう。そんな事例を一つずつ積み重ねて地域も変わる。それが理想」と語る。
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