日本オストミー協会川崎市支部の支部長として、10月に落語鑑賞会を企画する 坂本 純さん 川崎区桜本在住 67歳
障害は「個性」、笑顔絶やさず
○…人工肛門や人工膀胱を設け、排泄物を自動的に体外に出すことができないオストメイト。「この障害を少しでも多くの人に理解してほしい」と、10月に落語鑑賞会を初めて企画した。「落語の笑いで来場者の心身の健康増進につながれば」と思いを込める。
○…証券会社で働き、定年を目前に控えた57歳の時、3年ぶりに受けた検診で大腸がんが発覚。「医師から『これはヤバいぞ』って言われて」。手術は8時間にも及び、直腸と肛門を摘出。「初めはお腹のストーマ装具を見るのも嫌で、仕事にも集中できなかった」。そんな虚脱状態から救ってくれたのが協会の会員だった。初めて参加した総会で、「初心者マークか。楽しく生きよう」と掛けられた言葉で気持ちが晴れた。「オストメイトにならなければ、そこに偏見を持っていた人間だったと思う。今まで見えなかった景色を見ることができて良かった」。
○…長野県諏訪市で生まれ、地元の進学校を卒業。両親共に教員という厳しい家庭で育った反動もあり、上京し就職。家族は妻と娘2人。「子育ては家内に任せていたから、娘からは『世話にはなっていない』って嫌味ばかり。性格も似ていて叱れないよ」と苦笑い。今は時々故郷を訪れ、高校の同級生とも連携し、歴史的資源をいかした地域おこしにも力を注ぐ。
○…オストメイトは全国に約20万人、川崎市内には2千人弱いるとされるが、会員は100人に満たず高齢化も課題の一つ。「悩んでいる若者も多いはず。同じ境遇にある人の生き方や働き方を知る機会になる」と呼び掛ける。笑顔溢れる共生社会の実現に、教育の必要性も説く。「個性や多様性を尊重する教育課程が大切。家庭でも話したり、子どもが親に教えることがあってもいいね」
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11月22日
11月15日