外国につながる子どもの貧困問題について語り合うフォーラム「この国で未来を切り開く」が11月10日、カルッツかわさき(川崎区富士見)で開かれた。学生や地域住民、支援団体、行政職員ら約40人が参加した。
東京都立大学の阿部彩教授は「子どもの貧困の現状について」をテーマに基調講演。阿部教授は冒頭、川崎でホームレス支援活動に関わった経験に触れ、貧困問題について研究するきっかけだったと振り返った。貧困については「経済的困難から発し、学力や体力の低下、住環境の劣化など様々な課題が生じ、自己肯定感の低下、人間関係の劣化、社会システムからの脱落につながる」と指摘。「最低賃金を上げるなど政策的対策は重要だが、隣に住んでいる貧困の方が恥ずかしくない社会をどう作るかは、市民一人一人ができる」と強調した。
外国ルーツがある子どもの貧困についても言及。外国ルーツのあるひとり親世帯の約2割が年収100万円未満、300万円未満まで含めると約6割近くに上るなどと紹介した。最後に、阿部教授は「誰かを排除しようとする社会はすべての人に住みよい社会ではない。社会的包摂で貧困に立ち向かう必要がある。これは地域でしかできないことだ」と訴えた。
グループワークでは、参加者が6つのグループに分かれ、貧困の要因や解決策を検討。外国につながる子どもが直面する在留資格や進学、就職の壁について意見交換を行った。川崎区の外国人の状況を話題にしたグループでは、川崎小学校の一部のクラスでは半分が外国人との紹介があり「この問題は外国人だけではない日本人の問題として再認識すべき」と意見が上がった。貧困の解決として「小さい頃から多文化や貧困を学ぶ機会を設けることや文化体験を増やすこと、日本語教育に対する公的仕組みを作ること、様々な視点でものを見ること」の重要性を強調するグループもあった。
フォーラムは川崎区の「いきいきかわさき区提案事業」として、社会福祉法人青丘社とThe Lit Zone Beside(ザ・リットゾーン・ビサイド)が主催した。青丘社事務局長の原千代子さんは「差別が生活の中にある貧困とつながっている」とし、フォーラムを通じて課題をつまびらかにし、貧困の連鎖を断ち切るためにできることを考える機会にしてもらいたいと述べた。
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