川崎市は、住民票の写しなどが第三者に不正取得されたことが発覚した場合に、本人にその事実を伝える「本人通知制度」を先月15日から施行した。不正取得行為の抑止につながるとしている。
先月から市がスタートさせた「本人通知制度」は、本人以外の第三者に交付した、住民票の写しや戸籍の謄抄本、戸籍附票の写し、戸籍全部事項証明書、戸籍届出記載事項証明書、住民票記載事項証明書の6種類の証明書について、住民基本台帳法や戸籍法の規定に基づき、不正取得が明らかになった場合に、その事実を本人に伝えるもの。国や県からの指摘で不正取得が判明した場合も含まれる。
弁護士や司法書士、行政書士、税理士、社会保険労務士らは、「職務上請求書」を提出することにより、本人の同意がなくても証明書の交付が受けられる。しかし、これを悪用した個人情報の売買など本来の目的以外に使用した事件が全国的に多発。中には、本来なら請求できるはずの同業者から代理で申請を依頼され、依頼した同業者は手を汚さず、知らない間に不正に巻き込まれるというケースもあるという。
過去に愛知県警が摘発した事件では、司法書士・元弁護士らが、探偵社から身元調査のために依頼を受け戸籍証明書を取得。売買していたことが発覚した事件もあった。
今回の制度導入により、今後そのような事件が発生した場合に、本人に文書で「どういう種類の証明書が何通取得された」という情報が知らされることになる。一方的な事後報告であり、効果について疑問視する声もあるが、前述の事件の裁判中に「そうした制度を導入している自治体は狙わなかった」と被告が発言しており、「根絶するためには、法改正が必要だが、制度導入が抑止にはつながるはず」と、市の担当者は話す。
県内では、2013年9月に藤沢市が導入。翌年3月から、相模原市、鎌倉市、伊勢原市、秦野市、小田原市が相次いでスタートさせており、全国的にも採用する自治体が増えている。
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