川崎市は今月、自転車の利用者が多い市内4駅を特定駅として道路環境を整備する方針を打ち出した。鉄道駅を中心に自転車専用レーンや駐輪場を整備することで、安全で快適な自転車通行環境エリアを構築していく。市内で増加する自転車事故の抑制に向け、期待が寄せられる。
市が今回示した基本方針によると、自転車や歩行者が集まる鉄道駅周辺エリアの整備を優先的に進めていく必要があるとし、地域生活の拠点となる市内15駅を選定(左図参照)した。中でも、特に利用者が多い川崎(JR・京急)、武蔵小杉、新百合ヶ丘駅、武蔵溝ノ口駅の4駅を「特定駅」として自転車の通行環境を整えていく。
自転車専用レーンの延長や歩行者と自転車の分離を目指した駐輪場の出入り口の配置、バス通りの歩行者、自転車の分離に向けた整備や代替え路線を検討。駅周辺の自転車環境を総合的に整備し、自転車の通行位置を明確化することで、安全性の向上を図る。
これまで川崎市では、事故が多発する箇所や市民からの改善要望があった箇所に対して、応急処置のように緊急で部分的な対応を続けてきた。そのため、整備箇所に関連性がなく、断片的な整備にとどまっていた。
市の担当者は「道路環境と駐輪対策、ルール・マナーの啓発に連携して取り組むことで、より安全性を高めていけるのでは」と話している。
市内の交通事故は過去10年間で年々減少傾向にあったが、自転車事故の割合は常に約3割を占め、県内の平均値より上回っていた。昨年1年間の自転車事故件数は1115件で、前年より216件増加。死者数は7人と4年ぶりに増加へと転じた。今年に入ってから1月末時点までの市内の自転車事故発生件数も81件で、昨年同時期と比べて10件増加しており、昨年に引き続き増加傾向にあるといえる。
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