神奈川県にも条例制定を求めていきたい――。ヘイトスピーチに刑事罰を科す「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」が7月1日に全面施行したことを受け、条例制定を求め続けてきた市民団体「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」が同日、記者会見した。出席者は節目の日を歓迎しつつ、引き続き差別根絶のために取り組んでいく気持ちを新たにした。
会見には同ネットワーク代表の関田寛雄さん、裵重度(ぺェチュンド)さん、山田貴夫さん、崔江以子(チェカンイヂャ)さん、三浦知人さんが出席し、それぞれ思いを語った。
崔さんは条例について「川崎の宝、日本の宝の条例」と評し、今後の抑止効果に大きな期待を込めた。裵さんは「ヘイトは要するにウイルス。ウイルスに抗体を持っている人たちが集まってオール川崎のネットワークを組織して戦ってきた。ここへきて市もウイルスに立ち向かう治療をはじめた。治療薬はワクチンの形で強められねばいけない」と語った。「差別は当事者が声を上げて戦ってきた歴史である。自ら生きる歴史の中で必ずや抗体やワクチンを生み出す、そのための歩みでもある」と強調した。
関田さんは今後の課題について指摘。インターネット上での差別や中傷が深刻化していることについて「発信者を特定できる技術を開発してもらいたい」と語った。また、朝鮮学校の扱いについても「国家民族的差別」と力を込めた。
山田さんは市ふれあい館に市の元職員が脅迫はがきを送っていたことが報じられたことについて言及した。「条例は市職員全員が推進実践する自覚をもってもらい、その上で研修を行ってもらいたい」と語った。横浜中華街で2回にわたり中国人へのヘイトスピーチがあったことなどにも触れ、条例が川崎から広がってほしいと述べた。また、黒岩祐治知事あてに要請行動を起こそうと準備を進めていることも明らかにした。
7月1日に全面施行した同条例は、人種、国籍、民族、信条、年齢、性別、性的指向、性自認、出身、障害などを理由とした不当な差別を禁止する。ヘイトスピーチが繰り返し行われた場合、市長は、川崎市差別防止対策等審査会の意見を聴いたうえで「勧告」し、それでも従わない場合「命令」する。同様の違反行為が3回確認されると、氏名や住所などを「公表」し、刑事告発する。刑事裁判で有罪になると最高50万円の罰金を科す。
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