大調和展・内閣総理大臣賞をはじめ、数々の受賞歴のある中原区在住の画家・垣内宣子さんが7月17日、画集「ヨーロッパ紀行 前編」を出版した。半世紀以上にわたり描き溜めた500点以上の作品のうち約200点を厳選してまとめた。読者に「実際に旅をしているような気持ちでページをめくってほしい」と、地図や地域の特色を紹介するとともに街を描いた作品を掲載している。
垣内さんは数十点もの作品を、区役所や市民館などの公共施設や市内の学校に寄贈している。贈る理由について垣内さんは「作品をお贈りすることで、ご先祖様の分まで地域に貢献できたらいいなと思って」と話す。
「石の文化」に欧州で魅せられ
中原区下小田中出身。鎌倉彫の作家だった母親の影響で物心がついたときから芸術に関心があった。大戸小学校在学中に多摩川のデッサンが大会で賞をとり、「絵描きの才能を認められたようで、絵が好きだと強く感じるようになった」という。西中原中学校では美術部に入部。初めて油絵を描いた。「日本の絵にはない、重厚なタッチがとても魅力的だった」と画家になることを決意。美大では洋画科を専攻。卒業後、交換留学生として渡欧した際にヨーロッパの建築物に宿る「石の文化」に魅せられた。「欧米の建築物は歴史の重みと豊かな色使いが素敵。今でも年に1度は主人との旅行がてら描くのが楽しみ」と垣内さん。
絵を描き続けた人生を振り返り「本当に好きなことだからずっと続けてこられた。一度も画家としての人生に悩んだことは無い」と自信に満ちた表情を見せる。
画集を出版したきっかけについては「新型コロナの影響で予定していた展覧会が中止になり、時間がたくさんあった。77歳の記念にもなると思った」と話す。年内には後編も出版予定で、「外出自粛要請で遠出が難しいこの時期に、読んでくれた方が旅行の疑似体験をしてくれたらうれしい」と話す。
画集は北野書店で取り扱っている。
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