東洋大学の金泰泳(キムテヨン)(井沢泰樹)教授(58・川崎区中瀬)=写真=が「外国籍住民の地方参政権を実現する会」を立ち上げ、署名運動をオンライン上で展開している。現在、1万6300人分(9月2日時点)の署名が集まり、2万〜2万5千人分に達した際には、総務大臣に提出する。
会は今年1月に設立。佐藤信行在日韓国人問題研究所所長、鈴木江理子国士舘大学教授、田中宏一橋大学名誉教授らが共同代表を務める。呼びかけ文は「定住外国籍住民に、日本でも地方参政権を!」とのタイトルで、外国籍住民も地方自治のパートナーである▽外国籍住民の地方参政権は、憲法上禁止されていない▽外国籍住民が地方自治に参画することは、日本社会を「こわす」のではなく「創る」と訴える。
金教授は会の設立について「在日コリアン、在日外国人のエンパワーメント(自己決定力の回復・強化)の意味合い」だと強調。金教授によると、日本での国籍別の自殺死亡率は韓国・朝鮮人が一番高いと指摘し、特に80年、90年代に社会運動、民族運動を担った2世世代が自ら命を絶つケースが少なくないという。「在日コリアンは植民地時代には日本国籍で選挙権も与えられてきたが、サンフランシスコ講和条約で強制的に国籍が奪われ、韓国、朝鮮籍になった。それとともに色々な権利がはく奪された。展望を見いだせなくなった際たるものが選挙権」と語る。自身は長年、外国人の参政権成立を心待ちにしていたが、しびれをきらし2009年に日本国籍を取得。これまで国、地方あわせて7回の選挙で投票に参加した。
条例化の可能性模索
国への働きかけと同時に、地方自治体での外国人地方参政権条例制定の可能性も模索。条例制定を求め、「市長への手紙」を川崎市に提出した。金教授は「条例は外国人の地域、社会参加という多文化共生を積極的に進める中身をつくる動き。川崎でやる意味は大きい」と語る。金教授は「特に若い世代に実現に向けての知恵を貸してもらいたい」と語った。同会はオンライン上での署名サイト「チェンジオルグ」で賛同者を募る。
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