川崎市教育委員会は先月下旬、「川崎市地域文化財」を新たに23件決定した。川崎区からは12件、幸区からは1件が選ばれた。2018年の第1回から今回の第5回まで市全体では213件、川崎区は26件、幸区は11件となった。
川崎市地域文化財は市民生活や地域風土に根ざして継承されてきた文化財を市が顕彰するもの。
今回、川崎区で新たに決定されたのは大師稲荷神社(川崎区中瀬/中村博基宮司)の本殿及び拝殿、若宮八幡宮(川崎区大師駅前/中村博行宮司)境内の石橋などの建造物のほか、石碑が5件、神社の狛犬が2件、道祖神1件、手水石1件、扇1件の計12件。
大師稲荷神社の本殿と拝殿には人物や動物、花鳥などの多種多様な彫刻が施されている。これらは1834年の川崎大師平間寺の本堂再建に関わった彫刻師、後藤富五郎の孫である後藤冨八が明治初頭に制作したものと伝えらえている。
若宮八幡宮の石橋は、江戸時代の天保年間(1830年から44年)に川崎宿万年屋の半七が世話人となって行われた大師道の道普請に伴う遺構と考えられている。現在の川崎区旭町から大師駅前あたりに至るまでの二ヶ領用水にかけられた大師参道九橋のひとつが移されたもの。
歴史うかがい知る石碑
教育委員会の担当者によると選ばれた5基の石碑は江戸から明治、大正時代の今の川崎区の地域の様子がうかがい知れるものだという。大島八幡神社からは江戸時代の新田開発を行った名主や伝十郎桃の発見者を称える碑が選ばれた。平間寺で決定を受けたのは長十郎梨の発見者の功績を称えるものや、大師参道九橋がなぜかけられたのかを示すもの、かつて盛んだった海苔養殖50年を記念するものの3基。
今回、幸区から唯一選ばれた陸軍東部62部隊兵士のハガキは、1942年に同部隊からサイパン島の友人にあてたもので、市内の陸軍部隊兵士の当時の動静を伝える貴重な資料だという。
市教育委員会は毎年、決定した文化財を、解説文を入れてガイドブックやウェブサイトに掲載している。
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