神奈川大学湘南ひらつかキャンパス(平塚市)売却の優先交渉権事業者に選ばれた神奈川県川崎競馬組合が8月5日、同大と跡地整備計画について同キャンパスで報道陣に説明した。競走馬の練習場、育成施設のほか、地域交流施設を整備する計画を示した。
説明会には同大の石渡卓理事長、同組合の山崎勝博総務企画部長らが出席。今年2月から優先交渉権事業者の公募を開始し、40を超える企業などが見学に訪れたという。石渡理事長は「本来民間なら売却価格を重視するが、総合大学としてこれまで地域との信頼を築いてきたので、この絆を継いでくれるところに売却したいという思いがあった」と話した。
地域住民や経済界、有識者らで構成される跡地利活用協議会でまとめた3つの方向性「安心・安全な生活環境」「雇用の創出」「賑わいの創出」を重視し選定したという。
地域参加のイベント
同組合の山崎部長によると、敷地をトレーニングセンターゾーンとウエルカムゾーンの2つに分ける計画という。地域住民が参加できるイベントも企画する方針だ。
トレーニングセンターゾーンでは強い競走馬を育てるため、練習馬場、坂路、厩舎、厩務員住宅などを設置し、700頭の競走馬の育成を目指すという。
ウエルカムゾーンは、敷地北側バスロータリー周辺に配する施設で、日常的な憩いの場として地域活性化を図る。
また同大の31ヘクタールある敷地のうち、緑地保全の関係で使用できるのは21ヘクタールといい、川崎競馬場と同等となる横幅1200メートルの練習馬場を整備する予定だ。
小向厩舎に250人勤務
幸区にある小向厩舎では現在、調教師や厩務員、施設の維持管理や馬場整備など、多岐にわたる業務の担い手が約250人勤務し、うち厩舎地区内には家族も含め170人ほどが居住する。敷地内に住居を整備し、転居を勧める考えを示す。
キャンパス跡地は市街化調整区域にあり、現在は用途が大学に限定されている。売買契約の前に「地区計画」を策定するなど課題もある。山崎部長は「あくまで想定だが、10年以内の移転を考えている」と話した。
「定期的な説明を」
近隣住民向けの説明会が7月31日に開かれ、参加した平塚市の土屋地区自治会連合会の安池敏晴会長は「今後も地元に向け定期的な説明会を実施してほしい。連合会として協議会を設立し、問題点などの交渉にあたりたい」と話した。
同キャンパス跡地利活用協議会のメンバーで平塚商議所の常盤卓嗣会頭は「地元の業者を優先して使っていただき、雇用の創出もお願いした。小学校の遠足も受け入れてほしい。平塚市にとって良い施設をつくっていただければ」と述べた。
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