第50回衆院総選挙が10月27日に投開票され、神奈川10区(川崎区・幸区)は、自民党前職の田中和徳氏(75)が10回目の当選を果たした。日本維新の会前職の金村龍那氏(45)が比例復活で2選。立憲民主党新人の鈴木光孝氏(42)、共産党新人の片柳進氏(47)は議席を獲得できなかった。
自民・田中氏は当確後のあいさつで「選挙中に風向きが変わる大変な選挙だった。国民の皆さんの怒り、民主主義の重さを改めて噛みしめた」と神妙な面持ちで語った。「政治とカネ」の問題に関心が高まった今回の選挙。最終盤には自民党が非公認とした候補の党支部に活動費2000万円を支出した問題が報じられた。田中氏は街頭で配布するビラも途中から「知り合いしか受け取ってくれなかった。党の政権公約集についてもこれまでの選挙では足らなくなるが今回はほとんどはけなかった」とも振り返った。「国民の皆さんの負託にこたえる責務がある。まして10回目の当選。責任を果たしていかねばならない」と気を引き締めた。
「世代交代」を掲げ、田中氏に約6000票差まで迫った維新・金村氏は当確の報を受け、「議員として活動していけることに少しほっとしているが、地元の皆さんにとっては、まだまだ修行が必要だと言っていただいているのだと思う」とあいさつ。
同党が推薦した斎藤元彦前兵庫県知事によるパワハラ疑惑の影響などで維新としては逆風の選挙だったが3年間、地域や駅頭での顔の見える活動で地力をつけてきた自負はあった。選挙終盤、富士見公園で演説すると人だかりができ、手応えを感じたという。「しっかり汗をかいて、川崎に金村ありと、成長させていただけるよう頑張る」と力を込めた。
立民・鈴木氏は「賃金高水準、教育高水準、生活高水準」を掲げたが、選挙戦終盤は裏金問題に決着をと訴えた。「もう少しいろいろできることがあったのかと思うが力不足。この経験を糧にしたい」と支援者を前にあいさつした。
共産・片柳氏は市議を務めた経験から多摩川水害対策などを主張。「高齢者も若者も守る社会保障の充実や米国言いなり政治、大企業優先政治を切り替え」と他党との違いを訴えた。熱い支援の声が寄せられたが及ばなかった。
投票率は県内ワースト
10区小選挙の投票率は51・73%で県内ワースト。選挙区内各区の投票率は川崎区は48・26%、幸区は56・32%だった。
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