「こどもの日」を前に本紙では、相模原市が昨年新設した「こども・若者未来局」の鈴木英之局長にインタビューを行った。子どもを取り巻く様々な問題が顕在化する中、相模原市が今年度の重点施策に挙げる子どもの貧困、学力対策において、鈴木局長は同局として「ひとり親」への手厚いサポートを軸に「切れ目のない支援」を実現し、子どもと親が地域で孤立しないよう他部署や市民団体と連携していく考えを語った。
市は今年度、子どもの居場所づくりの推進や給付型奨学金の創設を新規事業に組み込むなど子どもの貧困、学力対策へ本腰を入れている。
その中で中核を担うのが昨年4月に新設された同局。家庭、就労環境が激しく変化し、複雑化する子どもや若者の問題に対応するべく、妊娠期から子育て期、その先を見据えた「切れ目のない支援」をめざしている。
昨年度は総合的な子育て支援拠点「子育て支援センター」の設置などに取り組んだ同局。今年度は、昨年9月に市内の子育て世帯を対象に行ったアンケートをもとに「ひとり親世帯」への支援を重点的に行っていく方針だ。鈴木局長は「アンケートの結果から、ひとり親世帯が経済的に厳しく、子どもを塾に通わせるのが困難な状況にあり、教育格差が存在することなどがわかってきた。ほかにも子どもの教育環境が良好でないケースはありますが、まずはひとり親世帯を中心に支援を充実させていきたい」とその理由を挙げた。
同局ではそうした問題を改善するため、新たな事業に着手。希望するひとり親家庭に民間塾などの講師を派遣する「ひとり親家庭等学習支援事業」を今年8月から実施する。この事業の狙いについて鈴木局長は「子どもへの学習面での支援はもちろん、家庭教師が出向き、学習面以外で子どもや親が抱える生活習慣の課題などを把握していきたい」と話す。家庭教師が把握した生活面での課題は、今年3月に市と協定を結んだ(一社)日本シングルマザー支援協会(所在地:横浜市)と共有し、希望者への訪問相談につなげ、ひとり親家庭を多面的にサポートしていく。
居場所づくりで市民と連携
同局では市民団体が行う「子ども食堂」など「子どもの居場所づくり」も後方から支援していく。具体的には、子ども食堂や無料学習塾を行う市民団体ごとに、昨年から実施されている連絡会の充実に取り組む。資金面や開催場所の確保などを課題としている各団体に向けて、社会福祉協議会や他部署と連携して助成金の情報なども積極的に発信していく予定だ。
鈴木局長は「子ども食堂や無料塾は経済面、学習面での支援になるが、そうした機会を通じて子どもとその親が地域コミュニティーに加わり孤立しないことが重要。地域の人々で子どもを支え、困ったことがあれば相談できる環境をつくることは児童虐待などを未然に防ぐ意味合いもある」と事業の意義を話す。今後の展望については「子育てへの支援をさらに充実させながら、今後は18歳以上の就労や結婚の問題にも取り組み、総合的な支援を実現していきたい」と抱負を語った。
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