相模原市はこのほど、2020年度から開始を予定している小中一貫教育の基本方針案を発表した。国の法改正などを受けたもので、市がこれまで取り組んできた「小・中連携教育」を踏まえつつ、新たに「めざす子ども像」を学区内の小・中学校で共有することで、児童・生徒の学習意欲の向上や不登校児数の減少をめざしていく考えだ。市は今後、7月20日まで募集しているパブリックコメントを集計し、8月末までに基本方針を策定する予定。
市が取り組む「小中一貫教育」とは、学区内の小・中学校が独立した組織でありながら、双方の教職員が義務教育9年間を通じて育む「めざす子ども像」などを共有し、教育活動にあたることを指す。私立校で行われている施設一体型の一貫教育などとは異なる形態だ。
20年度から始まる新たな義務教育の形を見据え、市は10年度から児童・生徒の豊かな人格形成をめざす「小・中連携教育推進事業」に取り組んできた。12年度からは小・中学校の教職員が参加する「小中連携推進協議会」を市内の全中学校区に設置。児童の学習、生活上の課題を双方で共有し「切れ目のない支援教育」を図るとともに、地元高校も巻き込んでのあいさつ運動の実施など、地域の実情に則した教育活動を模索してきた。
加えて、15年には国が学校教育基本法を改正。一人の校長のもと、1つの教職員集団が9年間一貫した教育を行う「義務教育学校」も制度化されるなど、国も小・中学校での連続性を重視する政策を進めてきた。
市ではこうした流れを受け、昨年PTA役員やすでに「小・中一貫教育」に取り組んでいる他市の校長などを招いた会議を2回開催したほか、先行事例となる京都市などを視察。「小中連携教育」を下地とした市独自の「小中一貫教育」を開始する運びとなった。
「中1ギャップ」解消へ
今回示された方針案では、20年度以降は市全体で「子どもの『未来を切り拓く力』」を養うことを目標に各中学校単位で「めざす子ども像」と「9年間を見通す教育課程」を新たに作成することを定めている。これまで各学校で行ってきた個別の児童・生徒の情報共有などに加えめざすべき姿とそれを推進する教育課程を共有することで、教育の一貫性を高める狙いだ。
併せて、先を見通した学習や生活指導により、児童・生徒の学力と学習意欲を向上させることも重視。中学入学時に環境の変化などに対応できずに不登校やいじめが増加するといったいわゆる「中1ギャップ」の解消にもつなげていく考えだ。方針案の中には「小中一貫教育」を発展させた形として義務教育学校などを位置付けているが、施設面などで課題が多いことから、条件が整った学校から検討を進めていく構え。なお、県内では横浜市が先行的に小中一貫教育に取り組んでおり、めざす子ども像「横浜の子ども」の実現をめざし、各校で工夫を凝らした教育を実践している。
市の担当課は「義務教育9年間を終えた段階での子どもの姿を共有し、先を見通した学校教育を展開していきたい」と話す。現在市では方針案を公式ホームページ上で公開し、7月20日までパブリックコメントを募集中。集計後、基本方針として策定していく予定。
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